【ハンターハンター】『ゴン&キルア=光&闇』 | 片方だけでは成立しない。その大きさや深さがどんどんと大きくなる…
(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)
こんにちは、サチヲです。
連載再開祈願として単行本1巻から読み返していくこの企画。現在は10巻の93話になります。
さぁ、改めて読み返していきましょう!
前回からずっと追い込まれているキルアですが“それでも”キャラクターの魅力が上がりに上がり続けるのです。
それは、なぜか。
それは『ゴン』という友達がキルアに対して、親が殺人鬼と言っても先入観なく、ゾルディック家と知っても分け隔てなく、上にも下にもしない同じ目線で、語りかけ接してくれるからです。
兎にも角にも、ゴンの“そんな”無邪気な『光』が輝けば輝くほど、それに照らされる『闇』も深く大きくなるのです。
『手』というのが、裏には手の甲。表には手のひらがあってはじめて『手』になるように、片方だけでは存在しないのです。
光であるゴンが目を開けられないくらい眩しい光をキルアに正面から照らすからこそ、その後ろには大きくて深い黒い影という闇が浮かび上がるのです。
要するに、キルア単体では“ここまで”魅力的なキャラクターにはなっていない!と声を大にして言いたいのです。
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もくじ
【ハンターハンター】『ゴン&キルア=光&闇』 | 片方だけでは成立しない。その大きさや深さがどんどんと大きくなる…

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)
光と闇のコントラストを明確に描き出す手法として、冨樫は『緩急』を使ってくるのです。
未だ、頑なに“自分だけで決めた”仮説を遂行しようとするキルアに対して、やっとゴンが動くのです。
そして、グーパンチでキルアの頭を殴るのです。そして、
- 「勝手なことを言うな!!」と、強くキルアに訴えかけるのです。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)
あんなに真剣で、あんなに切羽詰まった状況で、あんなに絶望的な空気がゴンの一言でガラリと変わるのです。
しかも!その「オレはいいの!!でもキルアはだめだ!!」というわがままな光は、敵味方関係なく“分け隔てなく”照らすのです。
キルアとノブナガの表情をご覧ください。一瞬前まで死ぬか殺されるかの瀬戸際だったのが信じられません。
そしてゴンには“この”力があるのです。それが冨樫節でもある『ジンテーゼ』という道を照らすこと。
キルア達から見た現在の状況として…
- 出口が一つしかない見通しのいい部屋
- こちらの言動はつつぬけ
- 一部の隙を見せずキルア達を監視する敵
- 居合の達人であろうノブナガの初太刀における間合いはキルアの倍以上ある
この状況で動けば致命傷確実。これを冨樫節でまとめると…
- テーゼ(命題…元の意見のようなモノ)
⇒ノブナガの仲介の元、団長に直接会い、旅団の入団に推薦される - アンチテーゼ(反対命題…反対意見のようなモノ)
⇒キルアがおとりになる(ノブナガの初太刀は死んでも止める)からその隙にゴン“だけ”を逃がす
このような状況から、冨樫節の中でも最古の技術である『伝統芸能・ジンテーゼ』が発動するのです。これは登場キャラクターはもとより読者をも考えが及ばない道を示す。
- ジンテーゼ(総合命題…テーゼとアンチテーゼの事情を踏まえたより良い意見の事だが、冨樫の場合…左斜め上の意見を持ってくる)
⇒ゴンがキルアにヨコヌキの原理(出口がふさがれているなら別なところから出ればいい)を思い出させる
大体ね、追い込まれたら本当に分かりやすく裏切ってくるんですよ。冨樫は!
しかも、引くほどキャラクターを追い込むんですよ!
ホントにあの!『闇市場』の物語がここで繋がるとは誰も思っていなかったでしょうに!!
まぁまぁ…結果!2人は無事に窮地から逃れることが出来ました。
そして、2人の絆と信頼関係は更に強く深く結ばれましたとさ。
最後に
ハラハラドキドキするとは、このような物語を読んだ時に起こる現象なのでしょうね。最高です。
今日も、ウチに遊びに来てくれてありがとうございます。
ではまた。