(ONE PIECE ©尾田栄一郎/集英社)
こんにちは、サチヲです。

感動。ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされることを言います。
人の心の動かす時のスキル・テクニックは世の中に溢れるほどありますが、自らの意思で『私自身がそう思ったから動いた』と心の底から“思わせてくれる”気持ちになる方法は少ないと思います。
自らの意思で動いた時の最大の利点は『いつまでも続く』という効果があります。
たとえば。モノを売る仕事・営業の世界でスキル・テクニックと呼ばれるモノでその人の購買意欲を動かしたとき、即効性はあるものの“クーリングオフ”が世の中にあるように“使う人によっては”持続性はないのではないでしょうか。
では、その違いはなにか。
そこで!人員も順調に増え、しかも強固な信頼関係が成り立ち、その急成長ぶりが著しい“麦わらの(株)”のルフィ社長は、どのようにして『自らの意思で“そう思わせる”』事をしているのでしょうか。
そのヒントが次の『一コマ』に全てが集約されているのです。

【麦わらの(株)】『見抜く目』 | 社長がいくらスゴい人だとしても独りでは限界がある。では『ついて行きたい』と思わせる…その『感動』とは!?

(ONE PIECE ©尾田栄一郎/集英社)
  • “その人が大事にしている宝を誰よりも先に見つけ、理解し、その人の宝を守る行動を取る”ことをし、人の心を動かしている。

ポイントは『早い』です。
誰よりも先に見つけ、誰よりも早く理解し、誰よりも早く行動する
もしこれが…
「チョッパーの宝は海賊旗だと思うけど、もし違ったら恥ずかしいな」とか。
「折られた海賊旗を勝手に直しに行ったら怒られるかな…」とか。
「邪魔口(ワポル)はムカつくけど、戦っても勝てるかどうか分からないから今はじっとしていよう」という考え方のルフィ社長だったら…あなたはどう思いますか?

社長という以前に、リーダーシップを取っている人間がこのような考え方とスピード感で働いている“人に対して「ついて行きたいッ!」と思いますか?
もちろん社長を含める『リーダー』という役割をしている人に対して“ブレーキをかける人間”は必要です。
しかしこの場合、部下から見たらたとえ!「こりゃ暴走しているな」と思っても止めるのを待ってください。実はリーダーとしての役割を全うしている最中の場合があります。
それが『やる気のある奴に制限をかけるな。やる気のない奴に時間をかけるな。』を実行している時です。

先ずは“その人が大事にしている宝を誰よりも先に見つけ、理解し、その人の宝を守る行動を取る”から一コマづつひも解いていきましょう。

  1. 右上のコマ…城に立てた海賊旗が撃ち抜かれる
    ⇒この時はまだ、ただの現象です。
  2. その左のコマ…チョッパーのただならぬ表情
    ⇒知らない人から見たら“ただの現象”なのに、チョッパーは明らかにナニかが違う。
  3. その左のコマ…ルフィ社長「……」「海賊旗…」
    ⇒ここが重要な『見抜く目』が必要な所です。先ずは“起こった出来事”をしっかり受け止めます。ここが地味に大事。シンプルに事実を見極める。これを間違えると目標設定を間違う。
  4. 右下のコマ…ルフィ社長「おいトナカイ あの旗…」
    ⇒“目の前の事実”を当事者であるチョッパーに速攻聞こうとしたが、それより早くチョッパーは走り出した。文句を言いに邪魔口(ワポル)まで詰め寄る。これは社長とチョッパーの間で“まだ危機感の共有ができていない”から起こるズレです。
  5. その左のコマ…ルフィ社長「?」
    ⇒走り出した先には、邪魔口(ワポル)の前です。チョッパーは文句を言いに詰め寄ります。この時点ではドクトリーヌを除いて“まだ”誰も分かりません。
  6. その左のコマ…第2営業部部長サンジ「……」
    ⇒一般的な対比としてサンジのリアクションを入れる。サンジの6番目の「……」はルフィの3番目の「……」であり、結果1テンポ遅れている。
  7. その左のコマ…ルフィ社長の表情変化のみ
    ⇒完全にスイッチが入った瞬間です。ここのまでが『誰よりも先に見つけ、誰よりも早く理解し』の部分です。あともう一つの効果は後ほど。

では、チョッパーが取った行動とは…

(ONE PIECE ©尾田栄一郎/集英社)この構図いいですよね。チョッパーを含め“誰よりも大きい城”をバックにこのセリフを言わせる。お前らが考えている以上に大きなモノを壊したんだぞ!が伝わりますよね。
  • チョッパー「何してんだ お前…ドクターのドクロマークに!!!」

チョッパーの“怒り”の理由なんて、今は知る必要ありません。なんでしたらチョッパーに“それ”を聞いている場合ではありません。
これがもし完璧主義者だったら“全部知るまで”動かないでしょう。それはそれで利点もありますが『今』は目の前で凄いスピードで物事は進んでいます。“それ”に合わせる理解として「あぁ…多分チョッパー大事なモノだったんだな」程度でいいのです。
実社会でも、目の前のトラブルに対して正確に把握することは大切でしょう。しかし期限がある場合や切羽詰まった時は“動きながら考える”のです。
この、ルフィ社長ように。

こちらが最後の『誰よりも早く行動する』です。

(ONE PIECE ©尾田栄一郎/集英社)

これが“その人が大事にしている宝を誰よりも先に見つけ、理解し、その人の宝を守る行動を取る”という、スキル・テクニックではないルフィ社長の立ち居振る舞いなのです。
人はその人の言っていることより、やっていることについて行くのです。
私の会社で上司がもしこんなことしてきたら、もう一生ついて行きますよ。…私がチョロいだけかもしれませんが、あなたはいかがでしょうか。

では、なぜ“コレ”がスキル・テクニックではないのか。
最初のコマの7番目である『その左のコマ…ルフィ社長の表情変化のみ』がポイントなのです。
実はココでルフィは感動しているのです。というとニュアンスが違いますが、正確には『ルフィは心を動かされた』のです。
心を動かされた人間の行動には純粋に“伝わるモノ”があります。そこには『相手の心を動かす力』も宿るのです。
これが“人たらし”とも呼ばれる、ルフィ社長の魅力をひも解く一つの答えなのです。

思い出してください。『やる気のある奴に制限をかけるな』『やる気のない奴に時間をかけるな』両方やらなくっちゃあならないってのがルフィ社長のつらいところなのです。

やる気のある奴は、もちろんチョッパーです。
誰よりもドクターのドクロマークを大切に想い、その想いと行為を一致させていることができているのが紛れもない証拠です。
やる気のない奴は口だけ立派なことや理由を語り、いつまで経っても行動しない。要するに“想いと行為は一致”しませんから。

そんな“やる気のある奴”で定評のあるチョッパーには、めちゃくちゃ『制限』があるのです。
それが邪魔口(ワポル)であり、チェスマーリモである。
これからルフィ社長率いる麦わらの(株)の社員たちはリーダーシップに則り、チョッパーの『制限』を排除していくのです。

蛇足ですが…この場面での『やる気のない奴=ドクトリーヌ(DR.くれは)』です。
勘違いしないで欲しいのは、ドクトリーヌは状況をいちばん分かっているし、誰よりもチョッパーのことを思っています。この時は『やる気のない=戦わない』です。
戦わないドクトリーヌに対してルフィ社長は、手取り足取り戦い方を教えていますか?「オレがこう突っ込んだらお前はこう行けよ!」とか教えていますか?
あなたの会社を見渡してください。
全くやる気のない社員(その理由は色々とありますがここでは割愛します)に対して、上司が優しく時間をかけて教える。結果、その社員は動かないのに。
もちろんそれは『優しい上司』かもしれません。
厳しいことを言いますと、やる気のある社員の隣でそんなペースでちんたらしていたら邪魔なのです。
そうです。ルフィ社長はドクトリーヌを完全に放っておくのです。
これが、ルフィ社長の覚悟ですッ!!

最後に

別に魔法やファンタジーで会社を大きくしていないことが、十分に分かるエピソードでしたね。
こりゃ麦わらの(株)は強く大きくなる訳ですよ。

ではまた。