こんにちは、サチヲです。
今回は…テレビやSNSで起こる議論で、たまーーに聞ける “話術” の一端を知ることにより、冷静な目と耳を鍛えられるブログになります。

選挙期間中にとあるテレビ番組を見ていたら…某芸人が某総理大臣に “失礼な質問をした” と炎上した番組があったのです。
テレビはエンタメとして見ているので 「ふーん…」 程度に思ったのですが…ちょっと気になって調べてみたら 「こりゃおもしろい!しかし…これをやられたら怖いなぁ」 とも思ったのです。
それは、『普通に聞いても答えてもらえない時』 や 『相手の思考を強制的に特定の方向へ向けたい時』 に使う、いわば非常手段である『多重質問』 という話術を使っていたんです。

【知らない言葉】『多重質問』 | 相手がまだ認めていない前提を忍び込ませる、という禁じ手に近いテクニックに驚きました

多重質問(Multiple Questions / Loaded Question)とは?

一つの質問の中に、 『相手がまだ認めていない前提』 を忍び込ませるテクニック。
そのまま 「はい」 か 「いいえ」 で答えると、質問の中に隠された前提を認めたことになってしまうという、論理的レトリックの一種です。

多重質問の使いどころとして、 『相手の本音を引き出す』 あるいは 『主導権を握る』 必要がある場面で使われます。
例えば…

1,相手の 『隠し事』 や 『嘘』 を暴くとき(尋問・調査)
質問:「最近は、もう浮気はしていないんですか?」
Yes と答える → 過去に浮気をしていたと認めることになる。
No と答える → 今も浮気をしていると認めることになる。
どちらに転んでも 『浮気をした事実』 という隠された前提を認めてしまうことになる。

簡単に言うと 『落とし穴付きの質問』 とでも言いましょうか。
基本的には誠実さを欠く手法になるので…もちろん!相手が “事実を隠している確信がある場合” に使いましょうね。
なんにしても、そのような輩にストレートに聞くと 「やっていません」 と嘘をつかれます。そこで、 「やっている前提」 で詳細を問うことでボロを出させる…という寸法です。
次は、もう少し違う角度からの例を出しますね。

2,SNSやネット掲示板の論争(相手を揺さぶるとき)
質問:「不祥事を起こしたあのタレントを擁護するなんて、あなたもモラルが欠如しているんですか?」
隠された前提: 『そのタレントを擁護すること=モラル欠如』という等式。
罠: 「モラルはあります!」 と答えても、 「じゃあ擁護するな」 と封じ込められます。

これ…絶対に勢いやノリで答えてはいけないヤツです。
よーく聞いてないと、いとも簡単に私の言質が取られることになるんです。
たとえ!削除したとしてもスクショによって、ネットに一生刻まれる危険なやり取りと化すのです。
このように最初の 『相手の本音を引き出す』 以外に 『現実にないレッテルを貼る』 コトもできるのが多重質問のスゴポイントなんです。
では、もっと身近に…
ビジネスの現場でも往々にしてある 『主導権を握る』 必要がある場面での例を一つ。

3,議論の主導権を奪うとき(ディベート・交渉)
質問: 「今回のプロジェクトの遅れ、どうやって責任を取るつもり?」
隠された前提: 『遅れの原因は100%あなたにある』 という決めつけ。
罠: 『謝罪の仕方』を答えようとすると、原因が自分にあることを自動的に認めることになります。

おー怖ッ!!でございます。
みんながいる会議の場でこんなことを言われたらもう…私めは思考停止になって即!謝ってしまいますよ。
このように、問答無用に頭から押さえつけるようなプレッシャーとして行う。
みんなの前でやり取りをすることにより、今後一切逆らわせない儀式として行う。
職場にて多重質問が使われることも…多かれ少なかれ “現実に” あるのではないでしょうか。

ご安心ください。しっかり対応策があります。多重質問に対処するコツは…

冷静に質問の中に隠された 『毒(前提)』 を見つけ出し、答える前に解毒すること。

要するに 「ん?なんかおかしいぞ??」 と思ったら、安易に 「はい/いいえ」 で答えるのをやめるコトです。

だがしかし…意外にできそうで、できないんです。
それが最初に出てきた 『冷静に』 です。
そもそも多重質問の攻撃を受ける時なんて、既に “相手から煽られに煽られている状態” といって良いでしょう。
そこでイライラしていたり、怒っていたら冷静なやり取りなんかできません。

だからこそ相手は、多重質問の効果を最大限に発揮するために…
外堀を埋めて逃げ道をなくしたり
質問する仲間を増やし声を大きくしたり
気に障るようなコトをねちねち言ってイラつかせたり
権威のある人を効果的に蒔き込んで、即断即決をせまる
といった、下地をつくってくるでしょう。
そのような傾向が感じたら、 「あ。これやってんな。」 と一度立ち止まり、以下のように冷静に答えてあげましょう。

1番目の場合には…
「その質問には答えられません。なぜなら、私はそもそも一度も浮気をしたことがないからです」
⇒前提が捏造されている場合には、毅然とした態度で前提を切り離して質問の構造そのものを指摘します。よって 『回答をしない選択肢』 もある。

3番目の場合には…
「まず『私が責任者である』という前提が間違っています。この件はチーム全体で判断したことです」

もしくは…
「ご質問が2つありますね。まず『ミスがあったかどうか』については現在調査中です。その結果が出てから『謝罪が必要かどうか』を判断します」
⇒多重質問は、基本的に2つ以上の事柄を1つにまとめて投げ込んできます。これをバラバラに分解して返します。

あ。2番目のSNSやネット掲示板の論争については…
『スルー』してください。反応しては絶対にいけません。
公人はそうはいきませんが、私人ならば気にせずにスルーしてもうそのサイトを開くのはやめましょう。
そもそも友達でもなければ上司でもない人に、気を使う必要もなければ同じ土俵で話す必要はありません。

以上です。
このように、質問自体を 『不適切な問い』 として差し戻すのが正解なんです。

そもそも人には、質問されると 『提示された枠組みの中で答えを探してしまう』 という心理的特性があります。
「いかがですか?」 と聞かれると、脳は 「必要か? 不要か?」 という根本的な判断を始めてしまうコトも…私め、覚えておきます。

最後に

ちなみに某総理大臣は “雑にまとめられた前提” を、答えられるモノと答えられないモノに分解して、華麗に答えていました。
多重質問という技術を知っているだけで、このような番組の楽しみ方が増えるというものです。

ではまた。