(スリースター ©加治佐修/小学館)
こんにちは、サチヲです。
マンガ家・加治佐修先生が2018年に発表した作品『スリースター』について語っています。がっつりネタバレ有りです。

『卓球』という競技にひたすら打ち込み、努力を重ねるマンガ『スリースター』は、いわゆる『スポ根マンガ』です。
ただ、この作品があまりにも素晴らしく…アニメ化はもちろんのこと、実写化もあり得るくらいの作品性とエンタメ性が両立しているのです。
なので今回は『スリースターを布教する』という旗の元、少しうるさいブログになる事を受け止めてくれるとうれしいです。

【スリースター】『アニメ化・実写ドラマ化希望』 | 「なんか現実にありそう…」と思わせてくれるシナリオが最高にいい!!

(スリースター ©加治佐修/小学館)  この頃はまだ…好奇心に満ち溢れた表情の司くんでした

私自身、卓球部を中学高校とやってきたので“現場のリアル”は多少知っているのです。
それを踏まえて読むと、魔法だ転生だタイムリープだとかいうモノは登場せず、本当にいい塩梅のリアル感で話は進んでいくのです。
それもそのはず。卓球を軸にしたマンガと思いきや、卓球はたたの道具です。手段なのです。では、いったい何なのか?

卓球は茎の部分であり、根っこの部分なので、もちろん大事なところです。その根っこから茎を通じて『卓球』が向かう実となる花が『父親に対する復讐』なのです。
この暗くマイナスな感情を持った花が、明るい太陽に向かってダークな光を放ちながら咲きまくる姿を、私たちは作品を通して追体験するのです。
こんなの…どうしたって人間ドラマが軸になるにきまっています。卓球ではないのです。

マンガにおいて最重要事項の一つである『主人公の動機』は、読者に共感とまではいかなくても賛同できるくらいまで仕上げる必要があります。

というのも…あまりにも根拠もなく、でたらめな動機だと読者はシラケて次のページをめくらなくなります。

  1. 健全なスポ根マンガが多い中、健全とは程遠い『父親への復讐』という動機を主人公に持たせる。
  2. 主人公の動機をどのように昇華させ花にするのか。最終的に花から、どのような実にするのか。
  3. 卓球という“狭い世界”で、父親への復讐という“分かりやすい題材”で人間ドラマを大きく広げていく。

コレだけ見ても、私め…ワクワクが止まりません。
はじめて読んだ時、一気読みしましたからね。めくるページの手が止まりませんでしたよ。
何が読みやすいかって、物語のテーマである『復讐』からブレていないのです。
人気が落ちたからといって、急にお色気やら恋愛やら格闘大会をやったりしません。
たとえ!明るく元気でかわいい女の子が出てきても…横道に逸れずにグッと我慢して『復讐』というシナリオの道を突き進む。
やっぱり最初の方は…というか『復讐』が落ち着くまでは、これくらい真っすぐ進んでくれた方が分かりやすいですし感情移入しやすいです。

改めて!ここでちゃんとした『あらすじ』を、AIの『Gemini』さんに語っていただきます。

主人公は『日高 司(ひだか つかさ)』という少年。幼い頃から卓球の才能に恵まれ、親、特に父親の過度な期待を一身に背負い、卓球漬けの日々を送っていました。しかし、その期待は次第に強圧的になり、父親は「毒親」化していきます。

プレッシャーに耐えながら卓球を続ける司でしたが、小学生最後の大会で、過酷な練習の疲労がたたり、左足に大怪我を負ってしまいます。それでも卓球を続けさせようとする父親に対し、母親は“初めて”反抗し、最終的に両親は離婚。父親は卓球に支配されたまま、家を出て行きます。
この出来事をきっかけに、司は卓球を「復讐の道具」とすることを決意します。家を出て行った父親が、全国レベルの高校で卓球部の監督をしていることを知り、父親のチームを打ち負かし、その卓球人生を否定することを目論みます。

物語は、司が母の旧姓を名乗り「水野 司(みずの つかさ)」として高校に入学し、卓球部に入部するところから始まります。彼は復讐という強い動機を抱えながらも、卓球を通して新たな仲間と出会い、純粋に卓球を楽しむ気持ちと、復讐心との間で葛藤を深めていくことになります。

いかがでしょうか。
もちろん『復讐という構造』を扱っている以上、シナリオはどうしたって“なぞる”ことになりますが、加治佐修先生にかかるとそんな単純な話ではなくなります。
いや!内容は“良い意味で単純”なのですが、シナリオに対して『興味付け・原因と結果・成長の仕方』の肉付けが最高に面白いのです。
ただし、AIの『Gemini』さんの内容を1点だけ修正しました。『母親は激怒し⇒母親は“初めて”反抗し』にしました。これは、地味に大切なエピソードなのですが…私は!そう受け取ったのです。
これは、実際にあなたが読んで確認し、感じてくれたらうれしいです。

離婚後、司は母親の姓を名乗った。その後、復讐の為元父親の現在の動きを調べたのですが…表現方法がエグいのです。

(スリースター ©加治佐修/小学館)こんなポーズしながら良い笑顔で…生前は元気でした。と言わんばかりの…。

えーと。この一コマ…違和感と言いますか、おかしいところがあるのです。
先ず!これは元・父親である日高進さんが、元気に他の学校の卓球部の監督になって、新たな才能に時間を使っている最中を説明した『一コマ』なんです。
…えーと。日高進さんは今も生きていますよ!まるで死んだ人を説明するかのように『遺影』を思わせる演出をしているのです。
いいですか!?司にとって彼(元・父親)は、もう死んだ。司にとって“それくらいの存在”だっていう事を、表現した感情むき出しの『一コマ』なんです!!

最後に

さて次回は“司が元・父親に似てくる”というお話をさせてください。
ちなみに、本作品は『サイコミ』で読めます。
それにしても…絵もいいんですよねぇ。

ではまた。