(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)
こんにちは、サチヲです。

もう“彼らの戦い”は好きな人が多すぎて、いたる所で語られているのです。
もうスキマは無いんじゃないかと思うくらい、ネットの海に漂っているのです。
だからこそ、私め。今回も悩みましたが…決めました。

この戦いの締めに取り上げるポイントは『考察しては⇒大き絵(戦い)の繰り返し』となっている構図を中心に語らせていただきます。
この構図があまりにも自然でテンポが良いため、結果『読みやすさ&分かりやすさ』になっている!と言い切らせていただきます。
さぁ、今日も私めの『妄想ブログ』をお付き合いください。

【ハンターハンター】『クロロvsゼノ・シルバの続き3』 | まるで3人手を取り合って踊っているような…そんなテンポで繰り広げられる美しくもノリがいい緩急

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

『考察しては⇒大き絵(戦い)の繰り返し』となっている構図のキャラクター達の考察タイムからスタートしました。
ゼノは、達人の領域であろうオーラをスムーズに体の部分から部分へと移動させる『流』によって、研ぎ澄まされたオーラが右手に集まったのを“あえて”見せて挑発しているようにも見えるゼノ
まぁ、そりゃそうですよね。
前回まで行われていた肉体での戦闘は均衡していましたから、打開するための威嚇でもあるでしょう。

そしてクロロは…。
不思議なのが、セリフがふきだしを『使う』と『使わない』に分けていることです。
私は以下のように受け取りました。

  • ふきだしを使っている方は、ゼノやシルバに「うんうん、あなたの威嚇は十分に伝わってるし『凝』でしっかり見えてるよー。」という表側の声。いわゆる、相手に悟られてもいいリアクションです。
  • ふきだしを使っていない方は、ゼノやシルバに知られてはならない、裏側の声。心の中で「ガードし切れない」と感じていることを、絶対に悟られてはならないリアクション。

考察タイムの後は『大きな絵(戦い)』タイムです。

前回の肉弾戦とはうって変わって念能力戦に突入です。
しっかり丁寧にクロロのターンも描いてくれているのです。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

ゼノの右手に集められた研ぎ澄まされたオーラに対して…多分この『絵』でクロロ推しが増えたと言っても過言ではない、冨樫渾身の『絵』を楽しんだ後ですよ!
実は、考察のターンが変わっただけで戦ってはいないのですが…見た目に大きなコマを置くことにより読者が一息つけるのですよ。
ここまでが一括りッ!!

ココから“また”『考察しては⇒大き絵(戦い)』を4回も細かく繰り返すのです!!

1回目

★考察タイム⇒具現化されたマント…としか認識できていないゼノは、一般的な輩が考えることをちゃんと読者に伝えた後…
★大きな絵(戦い)タイム⇒一瞬で「フン…時間稼ぎが見え見えじゃ」と即座に『龍頭戯画(ドラゴンヘッド)』から『牙突(ドラゴンランス)』を繰り出す。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

2回目

★考察タイム⇒ゼノ「読めたわ」となり、クロロのマントはカウンター型の能力と精度の高い仮説が立証される
★大きな絵(戦い)タイム⇒めちゃクチャ語っているし、もはや私のこぎつけだが…一応3人の俯瞰で全体を魅せる大きな絵は、次も同じように繰り返す。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

3回目

★考察タイム⇒クロロ「一瞬にしてこっちの狙いは全て見切られた」となり、「生け捕りは無理かな」…とクロロの意図を説明させる。
★大きな絵(戦い)タイム⇒今度はシルバ目線から「それにしても大した使い手だ」と、先ほどと“同じように”3人の俯瞰の絵を大きく魅せる。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

4回目

★考察タイム⇒シルバ「確かに…秘めた能力が未知数である以上 命を賭して動きを止めない限り 確実にはしとめられない」と、動きとは裏腹に冷静で、至極真っ当な考察を繰り広げる。
★大きな絵(戦い)タイム⇒クロが警戒するに値するくらい、一気にオーラを練り上げ通常時以上の量のオーラを生み出す『錬』を魅せつける。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

一部こぎつけと思われる個所もありましたが…それでも!大きく『構図』として見ると、4回にもわたる繰り返しが非常に小気味よく、テンポ良く、描かれているのが伝わったのではないでしょうか。
大切な戦いだからこそ、状況説明も必要。しかし、分かりやすい戦い描写も必要。それを無視して描けば読者を置き去りにすることになる。

そしてクライマックスは、異常なスピード感で進む絵力のみで表現!!

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

とはいえ、冨樫は『遠近』をうまく使うことは忘れていません。
本当に小さなコマに、更に小さなコマを5つも詰め込むことにより、この5つのシーンが一瞬で行われていることを表現した後…
ここでやっと。最後にやっと。読者が待ってたであろう戦闘描写を2ページにわたり冨樫は描いてくれたのです。
そして、戦いの締めの絵を描きフィニッシュです。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

絵やシナリオはもとより、このマンガの設計図とも呼べる『構図』が素晴らしいく読みやすいからこそ“多少の文字量”も演出の一つになるのです。

最後に

相手を『置き去り』にすること。
これは通常のコミュニケーションでも起こり得ることです。
例えば、部下ににやり方を説明している上司が饒舌に話しいてる。それを聞いている部下は全て理解していると思いきや、実は質問したいことがあるのに言えない状態になる。いわゆる“相手を置いてきぼりにする”会話をしていることってあるのです。これは営業職によくある事で、売り手は買い手の気持ちを理解せずに自分の商品の良さを延々と話す…という地獄の時間。

戻すと、いくら素晴らしい戦いを繰り広げられても読者を置いてきぼりにしては“面白さ”が伝わらなく、独りよがりなマンガ(ただ…現在の冨樫は『読者の置いてきぼり』ですら自分の伝統芸能にまで昇華した稀有な天才マンガ家)になるのです。
このサジ加減が上手すぎるが、冨樫なのです。

ではまた。