(BREAK BACK © KASA /秋田書店刊)
こんにちは、サチヲです。
顧問が突然…「去年の全国大会優勝の○○高校との練習試合が決まりました!!」の後に「え~!俺たちまだ素人集まりなのにぃ!?」という“流れ”は、運動系のイベントに必ず発生するものです。
とある朝…パンくわえた美少女が突然角から出てきてぶつかって、その子に罵られながらもラッキースケベを体験した主人公が学校に行ったらその子が転入生だった…。くらい必ず面白くなる『いにしえの構造』なのです。
そんな“どこかで見たような”があるのに、みんな“それぞれ”何故に面白いのか。
みんな分かっていても口にしない。私め、そんな当たり前のことを恥ずかしげもなく堂々と言うことが出来ます。
それは…構造が一緒でも中身が全く違うからです!
世の中にウスターソースやケチャップ、中濃ソースやマヨネーズがあります。みんな似たような容器に入ってますが“それぞれ”味が違うのと一緒です。
そんな世界で、やれ「ウチはリコピンを多く入れましたぁ!」のように企業努力をしているのです。マンガ家さんも同じように企業努力しているのです。
こんな流れで紹介して良いものかと思いますが…なんとビックリ、このマンガ週刊少年チャンピオンにて2018年1月号から連載をスタートしていたのです。
毎回“はずかしめ”を感じるのですが、私め…全く知りませんでした。
そんなオモシロアンテナの感度がめちゃくちゃ悪い私が、やっと見つけた秀逸なマンガがこちら。
もくじ
【イケてるマンガ】『BREAK BACK』 | KASA先生が描く“#読めばテニスが強くなる”で有名なリアルテニス漫画!

3話目にして“もう”「去年の全国大会優勝の帝蘭高校との練習試合が決まりました!!」という、早くもいにしえのオモシロ構造が出てきました。
この顧問の他責にしているのに、どこか自分の成果だ!的な褒めてもらいたい感を醸し出す、この微妙に無邪気な表情を見てください。この説得力のある画力!もう最高です。
次のコマには、世界7位まで登りつめた超絶天才テニスプレイヤー上條紗季さんが「れ…練習試合!?」と引いています。分かりやすい。
それもそのはず、上條さんが顧問になると聞いて、急遽テニス部を作った学校だからこそ、部員がいない。
そこで集まったのが、有名な上條さんオタク&テニスオタクである丸山くんである。こちらの方が説明キャラです。テニスを知らない読者に専門用語やルールを親切丁寧に“おもしろく”教えてくれる。
あと、運動神経抜群のテニス素人、五十嵐くん。こちらは純粋な成長要員です。しかも呑み込みが早いキャラなので、テニス初心者の読者も一緒に“テンポ良く”学ぶことができる。
先ずは、この2人が集まりました。
あ。最初に言い忘れていました。このマンガの物語のテンポ…めちゃくちゃ速くて読みやすいのです。
運動系マンガでよくある超明確で同じみの目的『全国大会優勝』に対して、どうやって達成させるのか?という、これまた明確な目標をもったキャラが主役はもちろん、最初から複数人いるという贅沢さ。
そんな重要な役割を持ったキャラだからこそ!
「じゃどうやって目標を達成させるか?」という目標を細分化したブレイクダウンによって浮かび上がったキャラだからこそ!
物語にフリとオチが効く、抜かりのないいいとこ取りのキャラたち。
それもこれもどれも綿密に組み立てられたからこそ、話のテンポが最高にスムーズで速い!
結果、読者に「なんでこうなるの?」という疑問や、置いてきぼりをさせないし素晴らしい物語なのです。
話を戻して…で!練習試合にはあと2人足りません。
さて、どうしようとなったところ…
説明キャラの丸山クンが連れてきたのが、このお二方!!キラン☆

丸山クン曰く…「2人共 アイドル研究部に所属している僕の友人です!!」と堂々と連れてきたのです。さすがです!
もうしっかりオタクの設定が、丁寧に施されている出で立ちをご覧ください。
通常なら「おいおい、大丈夫かぁ」と登場人物も読者も思うでしょう。
そもそも人がいないテニス部に“こんな強めのキャラ”を入れることになったのか…そう!このように王道中の王道トラブルを重ねて差し込んでくるのです!
そんな不安を抱かせながら…
では!満を持してKASA先生が描く、いざ試合当日の明野クンと古関クンの表情を見てくださいよ。

あれ。見当たりませんか?上の段の左側です。
もう、しょうがないですね。もっと大きくしますね。

じゃじゃーん!
わお!でございます。
古関クンの達観した眼差し!明野クンの安心感すら与える落ち着いた表情!
最高な『フリ』の追加である『追いフリ』がきました。
「なになに。テニスオタクの丸山クンのお友達だから、ワンチャン経験者だったりするん!?」と思わせるに十分な画力を、この2人全てを投入しているのがKASA先生なのです。
それにしても…何度見ても「ん?幼少のころからテニスは嗜んでいましたが…なにか?」感があふれ出ていると思いませんか??
で、古関クンの鉢巻きを見てください。試合用のバンダナ的なモノかと思いきや…『モノクロ』と刺繍の入ったゴリゴリのファングッズを試合当日も平然とつけてきているんですよ!
さすが元ネタであるモノノフリスペクトです。モノノフの鑑であり、漢の嗜みでもありますよね。
さて、そんな明野クンと古関クン。あなたはどっちだと思います?テニスができる?それともできない??

はい!テニスはできませんでしたぁー!
しかも!明野クンはきゃわいい(可愛い)!古関クンはきゃわいちょう(可哀そうが可愛い)!
いいのです。
お約束だろうが、どこかで見たことのある設定だろうが、僕たち私たちはその設定の中で“魅力的なキャラクターたち”がどう切り抜けるのか…が読みたいのです。
どこかで見たことのある設定の他のマンガには、この作品に出てくるキャラクターはいませんからね!だから早く先が読みたい。
しかもそれに答えてまぁ早い展開
最後に
それにしても、魅力的で見事なキャラクターを描きました。
この見事なフリ落ちを!まぁフリ落ちじゃないにしても、この“分かりやすい流れ”は、第一線で相当訓練された物語の運びだと思うのは私だけでしょうか。
さて、今後の楽しみがまた一つ増えました。
公式の『秋田書店』から、1話が読めます。
私の愛用電子書籍『ebookjapan』からも、時間を待てば読めます。
もしも購入を考えているのなら『Amazon』も一応貼っておきます。
ではまた。
