こんにちは、サチヲです。
この本の著者であるキム・ジヘさんは、韓国の韓江陵原州大学校多文化学科教授で専門分野としてマイノリティ、人権、差別論を取り扱っています。
研究対象としては、移民、セクシュアル・マイノリティ、子ども・若者、ホームレスなど、さまざまな差別問題に関心を持ち、当事者へのリサーチや政策提言に携わり、更にはソウル特別市立児童相談治療センターや韓国憲法裁判所などの公的機関での勤務経験もあるという、いわば差別問題の知識だけでなく現場を知るゴリゴリの専門家です。
そんな人が気がつかないうちに“差別をする側”になっていたのです。
そうです。
この本のタイトルである『差別はたいてい悪意のない人がする』とは、キム・ジヘさん本人の体験談から起因したのです!!
【読書】『差別はたいてい悪意のない人がする』 | 無意識のバイアスや日常に潜む排除の芽に気づき、真の多様性と平等を考える

最初の『プロローグ』である13ページを読むだけでも、十分に当事者として…そう、まさか読んでいる私も差別する側になり得る可能性、もしくはしてきたのかもしれないという事実に直面するでしょう。
著者であるキム・ジヘさんは、討論者として参加した『ヘイト表現に関するシンポジウム』にて、講演終了義に参加者から「どうして決定障害という言葉を使ったのですか?」と、質問を受けました。
いや!それはヘイト表現をやめようと訴えていた人が『決定障害』という使ったという矛盾に対する指摘だったのです。
「そんなつもりはなかった」
この言葉が出る理由とは“差別とはつねに、差別によって不利益をこうむる側の話であって、差別のおかげでメリットを得る側の人が、みずから立ち上がって差別を語ることはあまりない”と説いています。
要するに「自分が差別をした!」なんてことは言わないのです。
ここで素晴らしいのが、キム・ジヘさんの気持ちの変化、感情の起伏がめちゃくちゃ詳細に描かれていることです。
最初こそ“認める”のだが、認めたくない気持ちや、隠したい気持ちなどが入りまじるのです。
結果!この問題と向き合うことになり、差別を差別として認識できない『悪意なき差別主義者』について研究するキッカケとなるのです。
このプロローグのタイトルは『あなたに差別が見えますか?』です。
その締めには「3年前のシンポジウムで会った方の質問に感謝したい。また、読者の方々にも、この本がその3年前の質問のような存在になってほしいと願う」と語るキム・ジヘさんの謙虚さと切実な願いは、この本を読み進めるに十分な説得力があるのです。
このくらい強烈な自身の体験があったからこその熱意。
丁寧な資料集めによる、信憑性のある言葉で紡がれた差別の流れの分析。
そして誰にでも分かるように専門用語を多用せず、使ったとしても必ず引用元やその言葉の歴史や説明が章ごとにまとめられている読みやすさ。
まだ、途中までしか読んでいませんが“途中の段階でブログで書きたくなるくらい”の本ということです。
最後に
今回紹介した本の正式名称は『差別はたいてい悪意のない人がする見えない排除に気づくための10章』です。
大月書店から出版され、著者はキム・ジヘさん。
翻訳は、韓国ソウル生まれで慶應義塾大学大学院で人類学を学び、『言葉で韓国と日本の心を繋ぎたい翻訳者』でおなじみの尹怡景(ユン・イキョン)さんです。
本のおすすめする時は「先ずはあなたの街の図書館で探しましょう」です。
ちなみに、私の街の図書館では『図書数 3冊・予約数 4人』でした。
コレなら2~3週間で順番がきそうですね。
私の場合は、「中古の本をバリューブックスで買う」の一択です。
しばらく図書館を使っていたのですが…もう待てないのです。
古本を買って、響かなければ直ぐに売ればいい。という考えになっています。
もしも新品が欲しいのでしたら、普通に『Amazon』に売っていますよ。
ではまた。
