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【ZETMAN】漫画家・桂正和 | 誰よりも変身ヒーローの『正義』という、理想と現実に向き合う漢。

投稿日:2021年9月16日 更新日:

週刊ヤングジャンプ。公式HPから抜粋。

 

こんにちは、サチヲです。

時代、世代ごとに、それこそ『田河水泡(のらくろの作者)』の時代から、必ずと言っていいほど特筆すべき漫画家は存在します。
特に、現代は昔に比べて漫画家の『分母』の数が半端なく多いので、良い作品に出合える機会は多いと思います。

もちろん、私の高校生時代にも素晴らしい作品を世に出した漫画家さんは数多く存在します。
その中の、ひとり『桂正和』先生を、代表作である『ZETMAN』を通して紹介します。

【ZETMAN】漫画家・桂正和 | 誰よりも変身ヒーローの『正義』という、理想と現実に向き合う漢。

単行本1巻冒頭。ふたつの『正義』の邂逅ともいうべき、スタート地点であり、進むべき道でもある大切なエピローグです。この後、幼少期であるプロローグへと移ります。

私が勝手に思い込み、特に言いたいことは「ZETMANは桂正和が本当に自分のやりたいことを凝縮した、贅沢極まりない大人の変身ヒーロー漫画だから単行本(美しい作画を見てほしいため)1巻を先ず読んでみてくれ!お願いいたします!!」ということです。

桂正和と言えば、『電影少女』や、SF要素を一切なくした『I”s』のような恋愛漫画を思い出す人が多いと思うが、根っからのアメコミ、特撮ヒーロー好きで有名な先生の真骨頂は、やはり『正義(変身ヒーロー)』モノである『ウイングマン』です。

私個人の考えですが、クリエーターという自分の作品を商業ベースに乗せることを生業としている人達は、世に出ている作品が必ずしも『自分が本当にやりたかったモノ』を表現したモノとは限りません。
お客様のニーズ、パトロン(お金を出す人)のニーズなど、いわゆる『大人の事情』を鑑みてます。それがアマチュアとは違う『プロフェッショナル』の世界でもあります。

桂正和でいえば、自分の土俵である『ウイングマン』という作品でプロの世界に立ち、あの黄金時代の少年ジャンプで一時代を築きましたが、次に来るの壁はプロで居続けるための『売れ続ける』ことです。

あの!桂正和でさえ、実際にはそううまくいかなくて、『ウイングマン』終了後に『超機動員ヴァンダー』・『プレゼント・フロム LEMON』と、私ですら内容を覚えていない作品をジャンプで連載はしていましたが、すぐに打ち切りに合い、次回作に恵まれない状況が続くことになります。

その後、再び担当となった編集者・鳥嶋和彦(桂正和デビュー当時、漫画家としての成功へと導いた功労者)のサポートから『恋愛モノ』に取りかかり、SF要素に恋愛を入れた『ウイングマン』とは逆に、恋愛にSF要素を取り入れた読切『ビデオガール』をベースに、『電影少女』を描き、結果、単行本全15巻と続くヒットとなり、メディアミックされるまでになりました。

その後、なんやかんやあって少年ジャンプから、ヤングジャンプへと青年誌へと移籍したことにより、少年誌では発揮出来なく苦悩していた、暴力的・性的・非道徳的といった過激な描写が解放されました。
更に、映画バットマンに出会ったことにより変身ヒーローの次のステージへと行く、インスピレーションを得たことも大きいです。

結果、桂正和にとって紛れもない集大成であり、と同時に自分自身への挑戦でもある作品が『ZETMAN』であることは紛れもない事実であると確信しています。

散々語りつくされたはずの『正義』について…

ZETMANという作品は、自己肯定と自己矛盾を繰り返した様々な『正義』を、私たち読者に対し、常に「これは正義だと思う?」という質問を投げかけた後、「じゃ、これでも本当にそう思うの?」と二段階仕込みで、畳みかけ続ける展開で問いかけ続けます。

私が思っていた『正義』の概念を揺さぶりにくるんですよ。ウイングマンでいう、夢や希望、努力という、いわゆる『綺麗ごと』を一切排したシナリオ。
辛辣で、救えない、目を逸らすことのできない現実と理想を二人の主人公に乗せて描く。

辛辣で、救えない、目を逸らすことのできない『現実』の正義には、ジン。

テレビで流れる「誰かのピンチにを素早く察知し、電光石火で現れる正義のヒーロー!」というコマーシャルを見ても、ジンは一言「ありえねぇ」と一蹴するくらい、力のない正義に怒りを覚えるも落胆するジン。

しかし、光が側にあるからこそ影が出来るように、暗闇に落ちたジンの側には生きる希望とも言える光輝いた人達が取り囲んでいる。
そのおかげで、綱渡りともいえる人の道を、ふらつきながらも歩くことができている。

自分の力の無さで大事な人を亡くす。自分の力があったからこそ大事な人を傷つける経験をしたジン。
それでも、力の使い方を悩みながらも、自分が出来る、信じる、行動をする。

でも実は、目の前の不幸を解決しているようで、実は少しづつ人の道を外れていくという。
それは『ZETMAN』という因果を背負っているから…。

そんな、黒き正義を突き進む、ジン。

いわゆる『綺麗ごと』を一切排したと言ったが、敢えてその綺麗ごとを追求する『理想』の正義には、コウガ。

青い義、と書いて『青義』というくらい、眩しいくらい光輝く、純粋無垢な正義を現実の世界に持ち込もうとするも苦悩する、コウガ。

将来の夢を「正義の味方です」と、何の臆面もなく話す。それをみんなに笑われても平然と顔色を変えないくらいの、強き信念。

そんな正義ですが、どこか違和感のある正義なんです。もし、火事が起きたとしても、消火や人命救助は二の次。コウガの目的は『犯罪の阻止』。
火事で言えば、放火魔の確保。犯人を捕まえたいのか…ヒーローになりたいのか…揺れ動く、青き正義。

光りだけで輝いているなら問題はありませんが、もし障害物が出たらどうなるのか。きっと、こんな明るいのなら、とんでもなく黒い影がくっきりとでますよね。
それが道徳的な障害物だったら、コウガはどんな選択をするのか。それが非道徳的な障害物だった時、どうするのか。

まるで、純粋な正義を汚すようなシナリオ。

そんな、白き正義を突き進む、コウガ。

そして、その二つの正義がぶつかることになる。

本当に起きた火災で、ジンとコウガは燃え盛る炎の中で、子供3人と気絶した母親の4人生存を確認しました。
建物は、もう火の手がまわり、崩壊寸前です。よって、二往復して救出するのは出来ない状態です。

コウガは、二人で気絶した母親を担いで、更に三人の子供を担いで全員出るのは難しいと判断し、『母親は置いていく』と判断した。

ジンは、一言「あんたさ…親のいないガキの気持ちわかるか?」といい放ち、全員を助ける方向で動く。

さて、この二つの正義の行方は・・・!?
この後は、漫画を買うか、漫画喫茶に行って読みましょうね。

エンターテインメントにするには、あまりにも心をえぐられる描写の数々。

これが、桂正和の真骨頂なんです!もちろん『美少女と、そのお尻を描かせたら日本一』と言わしめる画力はそのままに、エロとグロのバランスが抜群にいいんです。

これが、絵だけでのし上がっていないところもいいんでしょね。こればっかりは本書を読んで頂くしかないのですが、少なくとも『バットマン』の影響は受けていると思います。
ちなみに、このようなことを仰っていました。

映画自体については「好きな映画ではあるが一番おもしろい映画ではない」と述べており、桂にとってのバットマンの魅力はバットマンのキャラクター性にある。誰も見ていないところでコウモリの格好をしてどちらが悪人だか分からないような対応でチンピラに脅しをかけるといった行動や、怖い容姿をして常に怒っている正義の味方バットマンと馬鹿みたいに笑っている悪役ジョーカーの両方が同じ位に狂気に満ちていることが、東映特撮によって作られた桂にとってのヒーロー像とは異なり新鮮であったこと。そして自分がヒーローであることを見て欲しい自己中心的な性格が『ウイングマン』の健太とシンクロしたことをその魅入られた理由として挙げている。また一番好きな敵キャラクターとしてはジョーカーを挙げ、敵がジョーカーであったこともバットマンに没頭した理由の一つである旨を述べている。

キャラクターが生き生きしている理由はコレなんですね。

最後に

1巻なんですけど、2回目を読んだ時の方が泣きましたね。えぇ。声を出して泣きましたね。

ではまた。

 

おまけ。

●『ウイングマン』とは。

あらすじ。
変身ヒーローに憧れる中学生(関東地方の某県私立の仲額(ちゅうがく)中学校)の広野健太は、学校からの帰宅途中、頭上に突如現れた異空間から落ちてきた、謎の美少女とノートを連れ帰ってしまう。そしてそのノートに自作のヒーロー「ウイングマン」を書き込んでしまう。しかしそのノートこそ、書き記されたことを現実にすることのできる「ドリムノート」だった。本物の変身ヒーローになる能力を身につけてしまった健太は、ドリムノートと共に現れた、異次元世界「ポドリムス」から来たというこの美少女・あおいと共に、三次元人(地球人)の奴隷化とドリムノートの強奪を企むポドリムスの独裁者・リメルの差し向けた怪人、シードマンやゾウジンゲン達と戦っていくことになる。

なんと、デスノートもびっくりの設定でしたが、この『ドリムノート』がいい!このノートに自分で考えた新たな武器や必殺技を書くと、現実になるんですよ。そうやってズルく賢く強くなるところや、健太自身も新体操部に入ってヒーローの動きを勉強するなど、二種類の努力のバランスも最高で、更に出てくる女の子も可愛く、男子の夢がぎっしり詰まった素晴らしい作品です。

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飯沼祥夫

高校生2年でベースをはじめ、文化祭デビュー。
高校卒業してギターの先輩に刺激を受けギターに転向。
20歳でプロを目指し東京へ。
ヴィジュアル系バンドでインディーズデビューも2年で辞める。
その後はパンク以外のバンドを転々とする。
27歳でとある社長の事務所からデビューしかけたが29歳で辞める。
生涯ライブ経験は北海道から九州までのライブハウスツアーを経験もしているので40回くらいでしょうか。
その後、音楽を趣味に変えて楽しんでギターを弾いています。

現在は48歳。結婚は9年目、二児のオッサンです。
私は、嬉しいこと、楽しいこと、感動したことを
人に聞いてもらいたくなるんです。
そして、共感できたら最高だなぁと思ってます。
先ずは、肩の力を抜いて読んでもらえたら嬉しいです。
よろしくお願いします。