/>【ハンターハンター】『ウボォーギン』 | 旅団でいちばんの力持ちの描写を、天才冨樫はどう表現したのか!?それが一般人です
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【ハンターハンター】『ウボォーギン』 | 旅団でいちばんの力持ちの描写を、天才冨樫はどう表現したのか!?それが一般人です

HUNTER×HUNTER ★布教

こんにちは、サチヲです。

冨樫義博。彼は、期待を裏切ることで、期待に応えることを…よくやるんですよね。
読者の冨樫に対する数ある『期待』の中でも、『戦闘描写』は上位に来ると思います。
その理由として、私めの中途半端な知識を最大限に発揮し、もっともらしく語らせてもらうと…冨樫は『意味の無い、無駄な戦い』は本当に描かない。

今まで情報を小出しにすることで、得体のしれない謎のベールに包まれていた旅団メンバーが、やっと登場したと思ったら…基本1ページ、良くて2ページの戦い描写で終わり「まさか、“また”コレで終わりなのか…もっと描いてくれッ!!」と、切実に願っていたら…。珍しく、冨樫が応えてくれたのです。

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【ハンターハンター】『ウボォーギン』 | 旅団でいちばんの力持ちの描写を、天才冨樫はどう表現したのか!?それが一般人を出すことです!!

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

  • 一般人=念能力者ではない
    ⇒念能力者同士でしか『強さの説明』をしてこなかったのですが、一般人を出すことによって「普通ならこうだよ」という『強さのふり幅を広げた』こと。

今までは、少なくても念能力者同士のお話でしたが…ここに来て初めて一般人を使い、タイマンとノブナガ大好き筋肉ウボォーさんの『個』という力の強さを表現してくれたんです!

地味に重要な場面と認識しているのは、念能力という一種の超能力のような『力』を中心に、これまで丁寧に世界を描き作り上げてきたのは読んできた“あなた”もお分かりですよね。
しかし!ここに来て急に『拳銃』という人間が扱う力が出てきたのです。しかも、一般人(ヤクザ)を使って…。

当時ジャンプで読んでいた時は、漠然と「拳銃なんかで殺されるはずないだろ…」と、ただヨダレを垂らしながら読んでいました。
これまで完全にファンタジーマンガとしてフワフワした感じで読んでいましたが、この描写が出ることにより急に地に足をつけたと言いますか…「あれ?いくら念能力者でも…人間だよね。じゃ、不意打ちや狙撃で一発アウトになるんじゃないか…!?」と、不安と興味が急に湧いてきたのです。

ここの戦闘で、『人間の力とその兵器:念能力』の力の差を魅せつけてきたんですッ!!

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

もちろん読者は“分かっています”よ。念能力者…ましてや旅団メンバーが一般人に暗殺されるなんてされるはずがない!と思っていたことを、冨樫は“わざわざ”描くことにより、我々読者をファンタジーの世界から“少し”現実の世界へ引き込むのです。
これは、強いキャラクターを出して強さを表現するのではなく、弱いキャラクターを出して強さの表現をする極めて難しい描き方で、ドラゴンボール的な『強さのインフレ』を防ぐ新たな方法を編み出したと、私は勝手に思っているのです。

これを丁寧に描くことによって、現在の『暗黒大陸編』では一般人を含めた“マフィア”が、よりリアルに感じることが出来る。
ファンタジーと現実が、より地続きになっていることに…よりキャラクターたちと読者が繋がっているように“思わせて”くれるのです。結果、世界に凄まじい広がりが出たことは言うまでもありませんよね。特に、船の中での念能力習得編は見応え抜群過ぎて、読者を半ば置いてきぼりにするくらいですから。

実際には『念能力』に加え、この後『制約と誓約』という画期的なシステムを構築することにより、“既に”見た目の単純な強さだけでは勝敗は決まらないことを知らしめいるのに!です。

だからこそ長々と、『一般人の力とその兵器:念能力者』という“意味のある”戦闘描写を描いているのです!

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

ライフルなんて、“チ〃ュギン ギィン”だけですから…。で、拾ったライフルの弾を“ビュオッ”っと投げて相手を殺しているんですが…「え、そんな事できるの?」と思われますよね。

これ…旅団創設時の子ども時代のエピソードで、バイクで逃げるクロロ達の背中めがけて、そこら辺にある石を投げて攻撃していたんですよ!
こんな昔からやっているから、ライフルと同距離の人に当てるなんて芸当は朝メシ前なんです。この辺も忘れずに繋げてくれるところが冨樫の愛ですよね。

更に、バズーカ砲をまともに食らっても…

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

「さすがにかなり痛えな」だけです。
とは言え、今回は念能力の中でも『強化系』&『筋肉自慢』に限ったことになります。

ここまで丁寧に“弱いモノ”を描いているからこそ、次に現れる念能力者の集まり『陰獣』という組織の強さと弱さを見事に表現しているのです。
冨樫にしては、陰獣との戦闘は描いた方だとは思います。

少しまとめますね。

  • 一般人『マフィア』(兵器込み)⇒念能力者『ウボォーギン』(強化系、筋肉込み)

という力関係が読み解けます。
次に、強さの指標として登場したのが、十老頭お抱えである念能力者を集めた組織『陰獣』です。
しかし、ウボォーさんに手玉に取られて…死んでしまいます。

また、まとめますね。

  • 一般人『マフィア』(兵器込み)⇒念能力者『陰獣』⇒念能力者『ウボォーギン』(強化系、筋肉込み)

という、力関係に変わります。
で、冨樫が真に恐ろしいのは、コレで終わりではない所です。
ここまで丁寧に旅団の強さを描いてきたと思いきや…実は、クラピカのチート級の強さを引き立たせる“フリ”だったことなんです!!

  • 一般人『マフィア』(兵器込み)⇒念能力者『陰獣』⇒念能力者『ウボォーギン』(強化系、筋肉込み)⇒念能力初心者『クラピカ』(緋の眼発動によるエンペラータイム込み)

という、何話もかけて作り上げた壮大な『フリと落ち』を魅せられていたのです!!
だから、クラピカの主人公感はもちろんのこと、丁寧に強さの比較をし続けたことにより『絶対時間(エンペラータイム)』の絶望感が、ウボォーさんと一緒に読者である私たちと共に体験させられるのです。この辺の話は先の話だし、テーマが違うので次の機会にしますね。

さて!戻ります。
先に来ていた陰獣をウボォーさん一人で片した後、本命の陰獣部隊が到着するのですが…忘れていました。冨樫が期待を裏切ることで、期待に応えることを…

そして、極めつけはコレです。。。

「おまえらが好きなような、パンチだ!キックだ!ミサイルだ!のような垂れ流す戦闘は描かないよ。今後に意味のある情報操作を含む戦闘しか描かない。だから、残りの陰獣なんて奴らは“出オチ”十分ッ!なんせ、今後に繋がらないし、あんな奴ら登場の1コマだけで旅団の“敵ではない”が伝わるでしょ。まぁ、強そうに魅せるのは得意だから全力の力で陰獣の登場シーンを描くよ」と、そんなことは確実に言っていないが、確実に“そう”としか思えない“その”一コマがこれです。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)明らかに強そうで、戦う気満々の彼らは…戦闘描写1コマもなく死んでしまいます。訓練された冨樫信者は耐えられますが、それこそ一般の方は…。

さぁ!これから陰獣との本格的な戦闘がはじまるんだ!!と、私を含めた当時のキッズたち全員、目をキラキラさせながら期待していたはずです。
しかし、この1ページを最後に陰獣は…もう描写すらされません。どういうことですか!?

なんで、ここからスピードを上げて突き進むと思ったのに…急にサービスエリアに入り飯を食い寝る…みたいな失速を描くんですか!?
実は…既に答えが出ていたんです。

冨樫義博は、期待を裏切ることで、期待に応えることをするんです。

最後に

マンガを読んでいるだけなのに、こんな訓練をさせられるのです。だから、私を含めて濃厚な冨樫信者が生まれていくんですよね。

ちなみに、単純に能力者達しか出ない世界は、冨樫は作りません。人間もいるし魔獣もいるしヒソカもいるしなんでもいる。
世界は広いし醜くく美しい。という『世界』を少しづつ描いているのです。
特に『アリ編』では、色々な生き物のレイヤーが折り重なって、身近な『世界』を明確にした名作でもあります。

さて、連載再開はいつになるのでしょうか。気長に楽しみに待つとしましょう。

ではまた。