【ハンターハンター】『No.397◆結成③・ 感想』 | 完全にネタバレ&それは必然としか言いようのない理不尽さに…
こんにちは、サチヲです。
冨樫義博を応援する意味を込めて…振り返りをさせていただきます。
他の方たちのような素晴らしい考察は無いですが、私なりに愛情を持って書きます。
単行本派、ネタバレが嫌な方はご遠慮くださいますようよろしくお願いします。
更に言いますと、ハンターハンターの読者向けに書いているので説明は少なめです。
ところで、キルアとアルカは何処を旅しているのでしょうか…では、1ミリでも前に進めてくれた冨樫義博に感謝を込めて…。
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☆★☆☆★☆【ハンターハンター】『No.397◆結成③・ 感想』 | 完全にネタバレ&それは必然としか言いようのない理不尽さに直面した時…あなたならどうしますか。
最年少でありながら、みんなのお姉さん気質だったサラサちゃんが居なくなってしまうんです…
この時からみんなはクロロの意見と行動、そして言葉を期待するようになってきているんです。
みんなの無言の表情からは、心配と焦燥。不安と焦り。しかし、目線はしっかりクロロに向けている。
そんな期待と頼られた沈黙の後、クロロの出した答えは…正直に話すこと。
そしてクロロの、子どもとは思えない概要説明が明確に…簡潔に語られます。しかも他責にしないで自責の言葉で。
説明の最後に「これからまたサラサちゃんを探しに行きます」と告げると、ウボォー達はもちろんのこと、観客のみんなが手を挙げて「ボクも!私も!オレも!」と探すのを手伝ってくれるんです。
クロロが毅然とした態度で今まで話していたが、みんなの優しさを受けてついに涙を流します。
…本当に、あの!オラつき集団をまとめている、カリスマオールバックのクロロとは思えないほど純粋な姿を描いているんです。
特に、フィンクス自ら「オレのバイクを使え!!」と言ったり、ウボォーが率先して指示だししている姿を見ると…なんであんな思想の人達になったんだ!と大きな疑問と怒りすら湧いてきます。
そこは冨樫義弘。ちゃんと直ぐに『変貌の理由』を、私たち読者になんのオブラートも包まないでそのまま突き付けてきます。
「もしあなたがここに居たらどうする!?」と他人事にさせない…しっかり目をそらせない決定的な出来事を突き付けてきます。
とある森に探しに行ったら、そこには木に吊るされた黒い袋がありました…あぁ、もう…
もうお分かりですよね…。ズシッと落とされた中身は。
サラサちゃんの亡骸に貼ってあったメッセージは結局…クロロしか見ていません。
しかし、胸くそ悪いメッセージが書いてあったとこは確かなことです。
流星街という治安の悪い所でも、クロロたちはどうにか難を逃れていたが…とうとう身近に犠牲が出てしまいました。
いや、犠牲なんてことはありません。一方的な『暴力』を初めて目にしたのです。
クロロの表情が…声を荒げて泣くわけでもなく、口をしっかり閉じながらも無垢な目に映った初めての絶望をどう表現したらいいか分からない。
その発散しようのないクロロの感情を共にしたウボォー。
我慢が出来なくなったウボォーは、メッセージの内容をクロロに問い詰めます…
冨樫に『光と闇』を描かせると、ここまでやっちゃうんです。
ここまで静と動をはっきりと描き分け、セリフと表情というナイフを読者の喉元に突き刺してくるんです。
だって見てください。……クロロの目はもう闇に落ちていますよね。。。
あの、無邪気な目で劇の吹き替えを昨日までしていたんですよ。
しれを一瞬に落とすほどの現実を、キャラクターに体験させる。ついでに読者にも追体験をさせる。
そう…ここで一気に惡の華が咲くんです。
それは必然としか言いようのない現実。そこでクロロの出した答えは…
“あの”メッセージ淡々と読み解くクロロ。この冷静さがむしろ怖い。
それは、自ら現場検証までしたからこそ分かる事実と理不尽さに対する、明確な答え。
もう涙と怒りがごちゃ混ぜになるくらい、言いようもない感情を持ちながら私たちは読むのです。
えーとコレ。少年誌ですよね。
冨樫特有のギリギリアウトの線で描かれるのは、もう伝統芸能の域まで達していますよ。
そんな傍若無人な現実に対して有効なのは、いつだって『覚悟』が道を切り開く…
自分の人生を捧げる覚悟…!!3年経ったら僕は 沢山の人間を殺す
そう言い放ったクロロは、続けて…
そう。こうしてクロロ一人によってデザインされた流星街と旅団がスタートするんです。
この絵の構図がいいですよね!私たち読者の距離感をコントロールしていますよね。
最初の「僕は残りの人生を…」の所は、読者を第三者の目線で、少し他人事のような感じにさせているのですが
次の「ウボォーさん」で、コマ割りをあえて小さくすることによって、読者を「ん!?」と近づけさせる効果を出して…
「僕と一緒にやってくれる?」で、クロロのアップで目線は上、ウボォーのアップで目線は下の絵を近づけることにより一気に読者を2人の隣まで誘導されてしまうんです。
だから、読者である私も「いやいや!オレじゃだめだよ!やっぱりクロロがリーダーになってもらわないと…」という感じに言ってしまうほど、当事者にさせられてしまうんです。
ちなみに、ウボォーさんがクロロの「僕と一緒にやってくれる?」という言葉を聞いている表情を見てください。
聴きながらも“既に”「お前が頭だ」という、落ち着いた『目』をしてますよね。
本当に、いい関係性だったんですね。
最後に
…どうですか!?こんな秀逸な過去エピソード今までありませんよ!!
ハンターハンターにおいて3週に渡って過去に戻るなんてないですよね?
ここまで丁寧に描かれた『幻影旅団』の最後がブラックホエール号内で終焉を迎えるなんて…単純にイヤです。
そう思わせるのが、冨樫の思惑なんでしょうけど…せめて暗黒大陸の地を踏ませてあげてください。
はぁ…ではまた。