(幽☆遊☆白書 ©冨樫義博/集英社)
こんにちは、サチヲです。
この言葉自体は知らなかったのですが、このジャンルは知っていました。
私が崇拝しているマンガ家の一人・冨樫義博先生の『幽☆遊☆白書』にて、第69話『禁句(タブー)のパワー!蔵馬の頭脳』で魅せた静かに確実に追い込む蔵馬の姿に大感動した回があるんです。
この『暴力を一切使わないバトルのうまさ』の衝撃をどうしても共有したく、ネットでみんなの感想を検索していたら…どうやら筒井康隆の『残像に口紅を』のオマージュだというコトがわかり、図書館で借りて読みました。
という所で止まっているのです。
まさか、このシナリオにジャンルがあって名前まで付いているなんて…で、ございます。
もくじ
【知らない言葉】『リポグラム』 | 『幽☆遊☆白書』の蔵馬vs海藤の戦い・・と言えばお分かりになるのではないでしょうか

リポグラム(Lipogram)とは、特定の文字や文字群を意図的に避けて文章や長文を書く、一種の言葉遊びや制約のある文章作成の技法。
と、コレだけで今回の学びは終わってしまうので…リポグラムを使った作品を紹介します。
あ。ネタバレ有りです。
先ず!私が初めてリポグラムに触れた作品であるのが 『幽☆遊☆白書』です。
仙水編になると新たに『テリトリー(領域)』という概念が加わり、あからさまに“単純な力だけでは太刀打ちできない”という設定をうまく組み込む冨樫に対して、大好きが大爆発した記憶があります。
この際に出てくる海藤優というキャラクターの能力が、蔵馬の手によって『1分ごとに「あ」から50音順に1文字ずつ発音禁止の文字が増えていく』というリポグラムを活用したルールに切り替えられ、過去類を見ない最高の頭脳戦を繰り広げるのです。
ちなみに海藤の能力は、領域は半径10mほどで、出入りは自由に行える。『言ってはいけない言葉』を任意に設定でき、それを口にした者の魂を奪う。
冨樫の魅力の一つに『設定つくり』がありますが、しっかりと“能力者自身もこの制約の対象であり、自分で禁句を言ってしまった場合は自身の魂が抜け出て、自力で体に戻れなくなる”という欠点もあるからこそ!立ち居振る舞いやわずかな言葉尻にまで神経をすり減らす駆け引きの世界へ冨樫は連れて行ってくれるのです。
実は、筒井康隆の『残像に口紅を』は最後まで読んでいません。図書館へ返すことになったのです。
当時はまだ、私に『読書筋肉』がついていない頃なので…この手の文庫本をスラスラと湯むことができなかったのです。
いや2週間で読めるはずないし、もう心も折れましたよ。
今なら読めるかな。
本作品は『世界から一つずつ「音(五十音)」が消えていく物語』となっており、いちばんのキモは“音が消えると、その音を含む『物』や『概念』も消滅し、人々の記憶からも消える”ことの表現が素晴らしすぎました。
幽白も残像、両方に共通していることは“物語への没入感が半端ない”ことです。
本当に読んでいると、私自身も“その世界”へ強制的に連れていかれる魅力があるのです。
最後に
あぁ…本当に『幽☆遊☆白書 完全版全巻』と『残像に口紅を』の本を買いたくなってきました。
しかし、家には必要最低限の本しか置きたくない(いや、狭いから置けない)のです。
年末年始を過ぎれば、安売り等の誘惑に勝ったといえるでしょう。…でも、欲しい。
ではまた。
