(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)
こんにちは、サチヲです。
もうね、神様冨樫に文句があるのです。前回のブログでも“もっと前からそう”なのですが…パンチだ!キックだ!ミサイルだ!的な分かりやすい戦闘を一切描いてくれないのですよ。だ!か!ら!好きなのですが、もはやここまでくると…
とある学校にて。その女の子には、クラスにちょっと気になる男の子がいます。気になる男の子は、女の子に会うたびにいつも「ブス!デブ!気持ちわりぃんDA・YO」と言ってきたり、なにかとちょっかいを出してきます。女の子は「もう嫌われているのかなぁ…」と諦めようとしていました。そんなある日、女の子は授業中に消しゴムを落としてしまいました。その時です。気になる男の子が消しゴムを拾ってくれたのです。女の子はこう感じました。「なんて優しいんだろ…私の為に消しゴムを拾ってくれた!!これは私だけの優しさなんだ……好き。」となり、その後はDV街道まっしぐらになったとさ。
あえて!ハンタ読者を代表して言います。私を含め、冨樫信者は先ほどの『女の子』なのです。冨樫が『気になる男の子』です。そして!今回の戦闘描写が『消しゴム』なのですッ!!
よろしいでしょうか。構造の話です。なにも冨樫の絵が消しゴムだなんて申し上げておりません。関係性の話をしているのです。消しゴムを拾った…と、旅団全員の戦闘描写…の関係性が全く一緒なのです。
たったこれだけの戦闘描写で、私は本当に冨樫に感謝をしている…いやもう「ここまで描いてくれてファン想いの冨樫なんだ!!」と思ってしまった自分がいるのです。
もくじ
【ハンターハンター】『戦闘描写』 | クラピカ曰く「ここは戦場になります」から繰り出される旅団の戦い方がやっと見れる…と思いきや、冨樫に消しゴムを拾ってくれただけなのか!?

『派手に殺れ!!』からのそれぞれ旅団メンバーの戦闘が大量に描かれます。当時としては!本当に珍しいことなのですッ!!
- フランクリンが乗り、しずくが運転する車で警備員を2人ほど轢く。…1コマ。
⇒これは業務上過失致死であり、念能力の戦いとは程遠い。 - フランクリンが『俺の両手は機関銃(ダブルマシンガン)』で近くにいるマフィアを皆殺し。…2コマほど。
⇒オークションで既に能力を見せているので…それ以上の新しさは無し。 - フェイタンが刀でマフィアの首を5つほど切り落とす。フィンクスがマフィアの首を3人ほどねじり殺す。…2人で5コマ。
⇒見開きだが、持っている刀と素手で『一瞬で殺す』演出描写なので事実上1コマで戦闘が終わり。 - シャルナークがマフィアを操っての銃撃。パクは…拳銃で撃った…のか?。2人で3コマ。
⇒今考えればこの2人は非戦闘員且つ、レア念能力だから一緒の行動はあり得ないのだが…マフィア程度ならいいのか。 - マチは、糸でマフィアを5人つるし上げ、それを見に来たマフィア全てを先ほどの5人を操作して銃撃する。…9コマ。
⇒マチだけは違う!糸の拘束と糸での人体操作はマシンガンの操作、動いている人間を狙う、という高等技術が糸のみで出来ている素晴らしい描写。 - ヒソカはビルの屋上で腕を組みながら「♪」で喜び、次に腰に手をやり「絶景♪絶景♪」と大満足の様子。…2コマ。
⇒いくら“みんな知っているから”といって…コ、コレだけとは。
今だからこそ分かる『情報』の少なさ!この少なさでも、この頃は「冨樫ぃー!最高のご褒美戦闘描写だぞーー」だったのです。
…改めて言わせていただきます。これが!消しゴム戦闘描写と言わずして、なんと言うッ!!でございます。
いわゆる「あれれぇ、おっかしいなぁ~。それぞれ能力を出しているようで出していないぞぉ~」なのですよ。
このままでは、冨樫から『マンガDV街道まっしぐらの刑』になってしまいます。
そんな読者を知ってか知らずにか…クロロさんの念は相変わらず力を抜かないで描くのです。イケてる造形美なのです。

『閉め切った空間』という発動条件で生まれる念魚だと!?フクロウナギに鎧を着せてあげたような可愛らしさを醸し出す『密室遊魚(インドアフィッシュ)』というネーミングもイケてます。この念魚のやられ役は、みんな大好き『オレでなきゃ見逃しちゃうねオジサン』です。

こんな感じに終わるのですが…よーく見てください。
このページでは既に戦闘が終わっているのです。“オレでなきゃ見逃しちゃうねオジサン”とクロロが対峙し「一対一(サシ)で闘(や)ろう」となってからの、先ほどのコマになるのです。
これは、もはや戦闘描写は無い!に等しいのではないでしょうか。どうやって念魚が食べたのか?オジサンはどう抵抗したのか?クロロの肉弾戦はあったのか?等々が全く描かないのです。だって、オジサンは“壁に固定されている”のですから。
多分、クロロがオジサンを壁に固定してから『インドアフィッシュ』を発動した…と思うのですが、こんなのは私の妄想で、実際は全く分からんちんなのです。
はい出ました。これが、冨樫の消しゴム戦闘描写です。ちょっとだけ拾ってくれるんですよ。“それ”に喜んでしまうんですよ。
で!数々の現役マンガ家さんにも影響を与えた“コレ”で締めるのです。結局、私たちは拍手を送らざるを得ないのです。

出しているようで全く…ではないが0.75%くらいの情報だけでハンタファンを黙らせる冨樫に最高の戦闘描写に賛辞を送らざるを得ない。でも、ご安心ください。
これは、冨樫の作った『階段』を登らされているに過ぎないのです。この階段を上りきったところに、あの…クロロvsシルバ&ゼノの冨樫の最高のご褒美戦闘が描かれるのですから。
最後に
現在は、過去編も含め“ある程度”揃った状態だからこそ分かる“冨樫の小出し技術”には分かっていても喜んでしまう。
もう…喜ぶウチらが悪いのか。
兎にも角にも、ハンタも冨樫も大好きなのです。
ではまた。