【ハンターハンター】『冨樫の絵』 | 説明しなくても分かる説得力と存在感がある絵を描き分ける。その圧の心地よさよ。
こんにちは、サチヲです。
とうとうグリードアイランド編に突入いたしました!
設定を作りこみ練り上げることに定評のある、天才設定厨こと冨樫義弘の“本気の遊び”を追体験できる章です。
ジョイステーションを購入するだけなのに『トイ・ランド』という、多分モール型のECサイトでの購入方法をキルアに説明させ、購入するまでを手順通り丁寧に絵を描く。
ついでに、本命である『グリードアイランド』のソフトもトイ・ランドで購入しようとするが…買えない。
文字だけ見ると物語性は弱いが、実はここまで9ページに及ぶ細部にまでこだわった『冨樫の設定』を私たちは読み、見てきたのです。
だからこそ『買えない』ことが、グリードアイランドというソフトの『価値』を相当上げたのです。
このように情報を、文字量を物理的に増やすことにより確実にファンタジーの世界へ誘い、「あー、そのサイトに無ければ相当レアなソフトなんだな」と、マンガの世界“だけ”の話なのに、その『冨樫の設定』があるおかげで「トイランドのサイトは私が生まれる前からあるんだ」と思わせるくらい、私をハンタの世界へスムーズに違和感なく入り込むことが出来るのです。
しかも!『冨樫の設定』にプラスして『冨樫の絵』の力も存分に発揮するから目が離せないのです。
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☆★☆☆★☆【ハンターハンター】『冨樫の絵』 | 説明しなくても分かる説得力と存在感がある絵を描き分ける。その圧の心地よさよ。
ミルキの目をご覧ください。“まだ”キルアと普通に話していいる感じの絵ですよね。
それが『取引き』という仕事に関わる内容になった途端に…
急にミルキの目が鋭くなるんです。ミルキがこの目になるのは劇中ココだけです。だからこそ電話のやり取りという単調になりがちな作劇に緩急が生まれ、ミルキは腐っても『ゾルディック家』なんだという恐怖と緊張感を私の目の前に持ってくるんです。
そのすぐ後に、その逆も冨樫はやるんですよ。
ノストラードファミリーというマフィアのボスに会うシーンなのですが、散々『冨樫の設定』で圧倒的な文字量で説得力を強めていたのに…のに!その扉を開けて出てきた次の1ページがこちらです。
美しい。もはや芸術作品を見ているようです。ここで言いたいのは絵が美しいのではないのです。全く説明をしない。全く会話をしない。ボス(ネオン)がただ佇んでいるだけ。
たったこの絵だけで、ノストラードファミリーという『得体のしれない恐怖』を演出してくるんです。
ちなみに、このページで1話が終了です。これがその週の最後のページです。
もう凄まじい『引き』の強さです。もう次週のジャンプが楽しみで仕方ありませんよね。
でも、冨樫はそんなに甘くはないです。次週全く違うことを描きます。「えーー!せっかく出てきたボス、なんにも話さないの!?」となりますが、私くらい訓練された冨樫信者なら全く問題ありません。しかしながら…コレ、一般の方は大丈夫なのでしょうか。
余計な心配をするくらいの光と影の落差が激しいのです。
最後に
「ネオンの絵が美しくない」とは言ったものの…単純に美しいに決まってます。
この説得力は、絵力があるからこそ出来る技なんです。
ちなみに、もう今年は連載再開は無いですね。。大丈夫。私、待ちますから。
ではまた。