/>【ハンターハンター】『No.408◆交渉②・感想』 | 正義・悪からズレたこの世の理。知らなかったでは済まされない事実を
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【ハンターハンター】『No.408◆交渉②・感想』 | 正義・悪からズレたこの世の理。知らなかったでは済まされない事実を

★HUNTER×HUNTER 最新連載の感動

こんにちは、サチヲです。

完全にネタバレ有りです。月曜日のこの時間とは言え…ジャンプ本誌を読んでいない方は、そっと閉じてくださいませ。

はい。気分が悪くなるには理由があります。コンプライアンスが厳しくなった今だからこそ、冨樫は私に『○○』を突きつけてくる。心の奥底に不快感や苛立ち、なにか非倫理的であり残酷に対する嫌悪感。いわゆる『胸糞』という類の事です。
なによりも、そんな『胸糞』な事実を私は離れた安全な場所から、“知らないふりして”感想を言っている自分に気分が悪くなるのです。
ついでに、たとえ!“知ったところで”キレイ事を並べ、自分を守ることに精一杯な自分に対してもです。

そんな『胸糞な事情』に対して、ボークセンはどう切り抜けるのか。自分の命をトランプと一緒にテーブルの置かれた『交渉ゲーム』では、些細な感情の揺れ動きも許されない。

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【ハンターハンター】『No.408◆交渉②・感想』 | 正義・悪からズレたこの世の理。知らなかったでは済まされない事実を…私は傍観するしかありませんでした。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

モレナの『目』をご覧ください。今週号は『凝』をしている意外、全て『瞳に光が描かれている』のです。全体的に、楽しくてしょうがない無邪気な目を描いているのです。
前回では…特に『交渉ゲーム』を提案した時は、緊張感のある無機質な『深く黒い瞳』が描かれました。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

この目ですよ。今週号で分かりましたがモレナは結構『感情が表に出るタイプ』だったんです。だから!最初に『交渉ゲーム』を提案した時、口を隠して感情や意図をなるべく悟られぬよう…“ゲームをしない”という選択肢を、ゲームを行う前に言わせるわけにはいかなかった
モレナはそれほど、今後の“ある事の為”に『交渉ゲーム』を経る必要があった。それほど、ボークセンが必要な人材だった。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)あれ…悪徳弁護士のヨコタニが居ますね。アジトの最前線で墨攻(LSDF)で守らなくて良いのでしょうか。それとも、モレナがアジトに戻ったのでしょうか。もう何が何だかです。

もちろん、既に“ただで帰れる”とは考えてはいないボークセン。ゲームを通して“如何にして生きて帰れるか”をゲームをしながらキッカケ(情報)を集める
雑談とは言え、ここぞとばかりに…モレナに“質問する”のではなく“取り巻きに質問する”という『穴』を試す。
最初の時点でコレを試す度胸と行動力は、モレナに「ナイストライね」と言わせるくらい挑戦的ですよね。
しかも!取り巻きに対しての質問の後の表情の変化で“仲間の人数”の目星をつけたのです。しかも、まぁ合っている。そもそも人数の仮説の精度も高い
ついでに、キルアとゼパイルさんとのやり取りを彷彿させる『モレナとの質問は一問一答できる(雑談レベル)』と、モレナの口から言わせているのがスゴイ。これだけで、実のところ主導権はボークセンが握っているように見えますよね。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

粛々とゲームに戻ります。
『目的』のカードを引いたボークセンは問う。一方モレナはゲームさえ始まってしまえば…無邪気に何でも言う。真実であろう“その”目的さえも。

さぁ、ここからゲーム外の雑談タイムです。
ただ…雑談とは程遠い『本物のモレナ=プルードは私の墓の中』という話を。

納得を100とすると3くらいしかないボークセンの“知りたがり”を補完するために、モレナは出自を語る。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

そして、モレナの口から語られる、信じられない現実を…。

  • 謝肉祭…数年に一度行われるというカキン王族の祭。ランダムに選ばれた村落へ王族一行がお忍びで赴き『宴』を催す。選ばれた村人は全員その場で『持て成す者』と『その他』に選別される。
  • 不敬罪…王族を蔑ろにする一切の行為を禁じ、これに抵触した者を極刑に処す。近代以前は下級官の直言や平民の直視も死罪とされ民主化が進む現在でも王族相手の避妊・堕胎・遺伝子鑑定等は王族の子孫繁栄に対する反逆・不敬行為として、即刻 死刑となる。

ハンタの世界でたまに出てくる、冨樫から世界に対する皮肉ですよね。『生きる』というアメに対して、『死』というムチは、いつの時代も効果が絶大なんです。
よくもまぁ、こんな設定を作り出しだしましたよ。日本に住む私では想像力が乏しいですが、世界がこの設定を読んだら…どう感じるのだろう。カキン王国という…共産主義と資本主義のはざま。建国間もない国。ハイソサエティの知られざる姿。

前提として、虐待に優劣はありません。虐待は虐待です。
『持て成し』に選ばれた…いや、性の虐待に選ばれたモレナの母。
誰が父親とも分からない『祭孤児』は、『母親を処置した』という表現で分かる通り、人としての扱いではないことは明白。
そして、モレナ自身は想像を絶する日常が約束された『肉』に選別され…それを生きた。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

冨樫の表現力です。
肉をあえて家畜である牛や豚肉のような描写。その肉の真ん中にナイフで『穴』をあける。
生でも焼くでもなく、なんか“そのまま”の肉を…「私たちの肉の食べ方は、いつもこうやって食べる」というメッセージ性の高い禍々しい『画』。

今回ばかりはボークセンは取り乱しました。というか、感情移入してしまった。だって、その「なんやかんやあって…」のモレナの目線は『ボークセンに私を知って欲しい』という、純粋な気持ちが現れた、とても真っすぐで温かさすら感じる視線。
しかし、ボークセンは明らかに違う。今まで淡々とモレナを直視(観察)する目線は落ちてしまい、口元は言いようのない感情が現れる。

思い出しませんか。第4王子・ツェリードニヒが33巻の挿絵で語っていた考え方を…

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

使えるゴミと使えないゴミに分ける。この思想は、まさに“この親にしてこの子あり”といったところでしょう。なにせツェリは幼少のころから“それ”を見て、“それ”を体験した日常を送っていましたからね。そう考えると、王子全員『謝肉祭』に連れて行ってないのでしょうね。ハルケンさんが知っていたら…いや、知っているからこそ『変えたい』となったのでしょうか。
そう考えていると、ビヨンドは改めてヤバい人ですよね。“そんな”カキン王国に自分の身内はもとより、王子に自分の子どもをねじ込ませている可能性すら出ていますからね。ネテロに暗黒大陸に行くことを禁止されていた期間に、とんでもない『仕込み』をしていたなんて…怖いです。

『人類を分ける』という考え方は、アリ編でも出てきましたよね。
百式観音の『零の手』から放たれる無地帆の咆哮の後、ネテロに敬意を表しメルエムから“信じられない”提案をされる。
メルエム曰く…「貴様に免じ特区を設け人類の永住を許可しよう。食用にする人間も選定の際に数や質を考慮する。貴様の孤独な闘いは無駄ではなかった。」と。
そして…コレです。

人間の悪意は進化し続けることを、十分に伝える最高で最悪な『画』でしたが…今回はさらに直接的な表現によってソレをも超えましたね。

1本線んで繋がっているように思えて仕方ありません。
人間と蟻はなんら変わりがない。程度の差こそあれ、大なり小なり『選別』している現実。もちろん、基本的には『差別』と『区別』をはっきり分けてはいます。冨樫は、幽白の“黒の章”というテープでしたっけか…昔から、人間の表と裏(光と影)の対比を大きく鮮明に描く

モレナの「カキンは何一つ変わってないし変わらない」という言葉から『人類も』に繋がるのは簡単だったのではないでしょうか。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

先ほど、あけすけに語られたモレナの目的『カキン王国の滅亡よ。それが達成できたら人類滅亡まで頑張るつもり』という目的の明確さが浮き彫りになりましたよね。
そりゃ、カキンも人類も蟻もそう大して違いはないのだから。

初めて見せた動揺の口元。目はしっかり見据えても、本で見たレベルの…実際に『祭孤児(まつりこじ)』を目の前にすると、色々な感情が『口』に出てしまった。

さすが…特質系にもれなく搭載されている『カリスマ性』です。
モレナの出自からくる動機。抗えない力に対抗する反抗の目的。“そんな”モレナから発せられる前向きで無垢な人間性。一般人なら“ここまで聞いたら”誰でもモレナを助けたくなる。もしろん、一般人代表の私でもそうする。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

でも!である。
だが、ゲームに戻れば、“それ”を引きずらない強い口元に戻り、ボークセンは続ける。

ここで流されてはダメ。ボークセンは『私達は』から『私は』と自分事として向き合う必要があった。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

相手の『目的』の強さに気圧される。『目的』とは『情熱』だ。どれだけ“それ”を達成させたいかの情熱の強さによって実現の有無が試される。
モレナのあまりに強大で凄惨な過去からくる必然性のある邪悪な目的は、到底同じ天秤に乗せられないのは明白だ。

だからこそ、ボークセンは自分自身と向き合う。他と比べてはいけないボークセンだけの根底にある情熱を模索する。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

同じカキン王国に居ながら、こんなにも違う他愛もない日常が語られる。
しかし、コレが重要で大切。自分の人生と他人を比べたらお終い…と言うより、意味が無い。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

そして、辿り着く。自分が最も情熱を注げられる…現在、最優先で成すべき目的が導き出される。それが『何としてもこの非日常を回避する』である。

目的・目標の面白いところは、『人と比べるのは意味が無い』という事である。
どんなに崇高な目的であっても、他人から見たら何の価値もない『ゴミ』である。それくらい自分自身の目的は唯一無二性を持っている。だからこそ、他人がどうこう言われる筋合いも無ければ、言われて折れるような目的なんて“本当にやりたかった事”ではないと言っているようなものなのです。

これは、どっちの目的がスゴイか?ではなく、モレナとボークセンのどっちが情熱を注ぎこんでいるかの勝負になる。

元プロレスラーのドッグマンは『能力を嗅ぎ分ける能力』であり、覚醒前でも判別可能なレベルまで達していた事!

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

探していたのは『ツェリのご学友』ではなく、『特質系』だったんですね。これはこれでめちゃくちゃ便利な能力ですよね。モレナが最優先で育てていた訳が“やっと”分かりました。
というか…みんなを引っ張る私がリーダー・ボークセンは『特質系』だったんですね!納得ですし、成長が楽しみ(死なないで欲しいという願いを込めて…)です。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

更に、交渉が長引くリスクについて言及していましたが『木曜日の今日が決行日だから急いでいた』のではなく、『ドッグマンが共通の「大きな目的」を持つ人が見つかればベスト』という事だったんですね。このように、私の考察をいとも簡単に捨て置かれるから面白いのです。(強がり)

ちなみに、「天空闘技場界でも超有名なフロアマスターに遭遇した…」と仰っていましたが、最初、変態紳士ヒソカかと思いましたが、変態紳士クロロの方でしたね。という事は、幻影旅団も乗り込んでいることも承知なんですね。全く眼中にしていないところにシビレます。さすが、追々、人類滅亡を企てているだけのことはあります。
余談ですが、幻影旅団の実行部隊はモレナ大好き軍団を壊滅させようと動いています。旅団の『目的』とモレナの『目的』。どちらの情熱が強いのか…もう楽しみで仕方ありません。

ここで、筆休め。過去一であろう特質系の説明タイムのはじまりです。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

クラピカの念習得講座が陳腐に見えてしまうくらい、赤裸々に語られる設定。
しかも!ハンタ解説本に速攻載るような…『私の仲間になる事で念能力の習得と技術向上がポイント制となり、大変お得』という、モレナの念能力の追加情報までも教えてくれる。
冨樫の伝統芸能である『文字の量が多い』は、物語を早く進めるための儀式でもあり、逆にスピード感を持たせる芸能だという事が改めて分かったコマですね。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

いよいよ本題です。いや、核心と言った方が良いでしょう。
モレナはあくまで好意的で「早く!早く!」といった、プレゼントを早く開けたい子どものような眼差し。ボークセンはあくまで平常心の眼差し。

第三の罠「イエス」と言わせるためのブロックが、どんどん目の前に積み上げられて行く…

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

ボークセンの『目の機微』がたまりません。「ん?そんなの、そっちのさじ加減でどうにでもなるでしょ」というアクションを、『目線』だけで表現するのです。
もちろん!モレナはボークセンの目線の意味を理解し、詳細を話し始める。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

ここが終点でした。
ただ、ボークセンは当初から“死を傍らに”していた事と、先ほど既に目的に対して情熱の再注入を済ませていたからこそ!自分を保てているのです。
さすが、全く質の異なるカリスマ性同士の戦いです。もはや、格闘技戦を見ているようです。モレナのハイキックはボークセンに全く効いていない(ように)魅せているのです!!

唐突に物語は動く。ベンジャミン陣営・センリツ陣営・クラピカ陣営・ハルケンブルグ陣営の思惑が交錯する。

そして、あまりの戦いの濃密さに忘れていましたが、決行日である木曜日が動き出すのです。
センリツ大好きさんが予想した通り、第1王子が『特殊戒厳令』を発令させましたね。

最後に

今週も、ボリュームあり過ぎです。
もっと書けそうなのですが…追々、追加していきますね。

今日も、ウチに遊びに来てくれてありがとうございます。
ではまた。