【ハンターハンター】『交渉・駆け引き』 | 今後出会う幻影旅団に然り、ひいてはG・I編でも命に関わる…予行練習であろう
こんにちは、サチヲです。
冨樫義博という漢は、難解なマンガを描くと思われがちだが…それは違う。しっかり上に登るための『階段』を作っているのである。
ただ、その階段の『段』が高すぎて登れない場合も多々ありますが…それはそれで魅力の一つなのですが、またの機会に話しますね。
実は!今回のエピソードは、これから“来る”であろう大きなイベントの前に、見た目は違うが『構造を同じ』にして、尚且つ『小さくコンパクト』にして、登場キャラクター(と、私たち読者)を成長(読者には教育)しているんです。
定期的にお断りしているのですが…このブログは私の独断と偏見の『考え』です。「こう思う!いや違う!」等々ありましたらお便りください。一緒に語りましょう!
さぁ!『No.87』を読み終わった時には…ゴンキルと一緒に、私もあなたも目がキラキラに輝いている状態になる不思議なエピソードであり、尚且つ!重要な修行でもあるのです。
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☆★☆☆★☆もくじ
【ハンターハンター】『交渉・駆け引き』 | 今後出会う幻影旅団に然り、ひいてはG・I編でも命に関わる…予行練習になるであろう作劇を刮目せよッ!!
『値札競売市』にて、『凝』を使って値打ちのある商品をゲットしたゴンキルに、ゼパイルさんが合流した後の談笑の場になります。
『目利き』のことを、全く知らないで価値のあるモノを見抜けたゴンキルに興味を持ったゼパイルさんは、『念』で探したことを知ります。
イヤ…実は、ここまでは『日常の会話』をしていたんです。
しかし!ゾルディック家で殺しの『座学』で学んだのか、抜行け目の無いしっかり者のキルアは『自分たちが1コの質問に答える』から『1コの質問をお互いがし合う』に変えたのです。
キルア「じゃ 交換ね それに答えたら今度はオレ達の質問に答えてよ」と。
知らない街、知らない状況での情報収集と、その真偽を確かめる大切さを知っているからこそではないでしょうか。
ひいては!知らない敵、知らない念能力に出会った時にも通じる『瞬発力』と『冷静さ』も、この会話劇に集約されているんです。
しかも!キルアのゼパイルさんからの質問の答え方が秀逸!!
ゼパイル「で お前らなんでそんなに金が欲しいのよ?」
キルア「あるオークションで ある品物を競り落としたいんだ それで金が要る」
あくまでゼパイルさんの「何のため?」に対しての「お金が要る」だけ盛り込んだ受け応えをしながらも!!
『あるオークション』の一つで成立するところ『ある品物』も交渉のテーブルに置き、ゼパイルさんの“知りたい欲求”をめちゃくちゃ刺激するんです。
もちろんそれは、オークションに対して不慣れで、知らない世界だからこそ“最大限の情報を引き出す”キルアの身に沁み込んだ執念でもあるんです。
その証拠に。
キルア「今度はこっちの番!」
と言って、流れを作りながら、主導権を“なるべく”握りながら、多くの情報を引き出していくんです。
その間、ゴンは“余計な事”をしゃべっていません。話が進みませんからね。そのバージョンはG・I編で出てきます。もっとカード情報を聞き出せたところゴンは無条件でしゃべってしまう時もありましたからね。おかげでキルアに怒られていますから。それがまた、仲睦まじいのです。
その後は、テンポ良く一つずつ質問を交換していきます。
セリフ量が多いのに、ゴンの“おとぼけ”や余計な事を極力無くしたおかげで、テンポが非常に早くなっています。結果、読者はどんどん読み進めていくのです。
- 木造の中身はどのくらいの値段?⇒悪くても1億はくだらない
- どんなモノを競り落としたい?⇒グリードアイランドってゲームソフト
- おっさん(ゼパイルのこと)が手に入れた変な壺はいくらになるの?⇒こりゃガラクタだ タダ以下だな
- なんであんな高額なゲームソフトが欲しい?⇒自分の親父を探す手掛かりになりそうだから
- なんでそっちの壺(タダ以下のやつね)を選んだの?⇒実はオレ(ゼパイルさんね)が作ったやつだから
実に軽快なやり取りです!
まさに、ゴンキルと一緒に私も隣に座って聞いているような錯覚さえ起こします。
ここまで実に3ページに凝縮させ、展開した後…キーワードをさりげなく盛り込む冨樫…。
ゼパイルさん「贋作だよ いわゆるパチモンさ」
今まで、小さなコマで展開していましたが…ここに来て大きく描きました。
実は…これは“フリ”で、本当に重要な『一コマ』は次のキルアとゴンの『ぽかーん』とした顔をした小さいコマです。
この2人の表情を“どう”読むかです。
当時はもちろん!私は、一つも気にかけていませんでした。実は、次の話で『ぽかーん』とした顔が“如何に大切で重要なのか”が語られることになりまが…今回は『交渉・駆け引き戦』なので、これは次回に書きます。
そして、まだまだ『一問一答』の作劇は続きます。
キルアが「本物の壺ならいくらくらいすんの?」と聞いたあと、「オレの番」と、すかさずゼパイルさんは遮ります!
子どもに対しても、きっちりルールを守らせます。逆に言えば、見た目は明らかな“子ども”に対しても、ちゃんと“大人として扱っている”ことになります。
この会話劇を見るだけで、ゼパイルさんが如何にゴンキルを『対等』に接しているかが分かります。
- お前の親父って何してる人なの?⇒プロのハンターなんだ
- 本物の壺ならいくらすんだよ!⇒本物でも4.5万そこそこだよ
- 子どもが探すのはムリなんじゃねーか?⇒大丈夫 オレもプロハンターだもん
駆け引きを含めた交渉…そんな『一問一答』を続けた結果。
ゼパイルさんから『本当の質問』を引き出すことになるんです。
ゼパイル「オレに何か手伝えることはねーか?」
そして、ゴンキルからも最後の質問をする。
ゴン「どうしてオレ達のことを手伝おうって思ったの?」
こうして健全(お互いに有益な)な、ビジネスパートナーになったのです。
この後も、ゼパイルさんはアツくゴンキルの良いとことを言っていますが…それは実際に読んでみてください。
最初からの『流れ』を感じながら、この帰結に辿り着いた時…結構怪しめのゼパイルさんの事を『信頼』している…いや『頼もしく』も感じている自分に気がつくと思います。
でもこれは、ゼパイルさんだったから学びながらも実践練習できたこと。
今後は“そう”はいかない相手と対峙していきます。その階段の『1段目』をこのエピソードで表現しているんです。
「駆け引きはあるけど…一方的であったり、前提条件が違ったり、1択しかなかったり」という具合に、降りかかるエピソードがどんどん“えぐ味”を増していくんですから。
なんでしたら「今後はもっとセリフ量も増えるよ~☆」という、読者に対しての、リハビリエピソードでもあるんです。
これが、漢・冨樫義博なんです。
最後に
10月24日(月)の連載再開まで…いよいよ迫ってきましたね!もう楽しみで仕方ありません。
今日も、ウチに遊びに来てくれてありがとうございます。
ではまた。