(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)
こんにちは、サチヲです。
毎週 “そう” なんですが、ハンターハンターは読むのがイロイロな意味で大変なんです。
冨樫は “日本語” でセリフを書いてくれているので、母語話者として “書かれている言葉” は問題なく読めます。
なのに…なぜか、全く理解できないのです。 言葉は読めるのにッ!!
その大きな要因は、おそらくこの3つ。
- 初期装備としての 『文字量』
⇒冨樫が本気を出したら、絵は “挿絵” と思えるくらいの文字量を投入してきます。 - ほぼ全編を通してムズカシイ 『話の構成』
⇒連載のストップ期間があるし、登場人物が多いから仕方ないが…4年以上前に掲載した内容をまるで 「先週の話の続きね~」 という感じに繋げてくる、読者への信頼度が凄まじい。 - そもそも状況や出来事の意味が分からない。 (コレは私の理解力の問題ですが…)
⇒ボノの変装、クラピカのカキン語の発音や、クロロやツェリを筆頭に念能力とその応用力…等々。 正直、ついていけないことが多々あります。
だからこそ…単純に繰り返し読んだり、過去にさかのぼって読んだり、あえて2日間くらい寝かせてから読んだり…といった感じにアプローチをしないとダメなんです。
しかしッ! 今週号は違った!!
ベンジャミンの制限時間に対する焦りと決意、それを確実に遂行する武力と行動力。
更に無駄を徹底的に削ぎ落とした会話と、今までにない非常に軽やかな殺陣描写。
これまでの複雑さが嘘のような圧倒的な 『スピード感』 に、文字通り心を撃ち抜かれたのです。
【ハンターハンター】『No.416◆発令』 | ベンジャミンの電光石火と冨樫先生の『スピードのものさし』に震えて眠る

全てのエピソードにおいて、冨樫がいくつも持っている 『スピードのものさし』 を存分に楽しめるシーンが満載でしたね。
それを可能にしているのが、空中炸裂(エアバースト)グレネードランチャー『XM25 Individual Airburst Weapon System (IAWS)』ではないでしょうか。

あ。もちろん、これは完全に私の妄想ですからね。
そもそもこんな至近距離でエアバーストどころかグレネードを撃ったら自分も爆風や破片で被害を受けます。
しかしご安心ください。 ココはエンタメの世界。
ひとまずハリウッド的に考えてましょうか。
最初は、命中率を上げるために派手な散弾銃かと思いましたが、ベンジャミンさんのニーズは違います。
一発で相手の 『生殺与奪の権利』 を掌握できる武器です。
エンタメ要素も考慮するなら…威圧感のある見た目、撃った時の轟音、そして “発当たれば即死” となると、グレネードの一択でしょう。
あとは、あの強力なグレネード銃を都合よくカキン国が魔改造したと考えると…つじつまを合わせる労力も心も軽くなり、まっすぐにハンタの世界を楽しめるのではないでしょうか。
もっと掘り下げれば、軍事技術によって開発された 『安全距離を極端に短く設定できる特殊な近接用グレネードとその弾薬』 というチート武器で、一切の言い訳の時間も猶予も与えない圧倒的な武力での制圧を可能にしているのです。
と、兎にも角にも! カミィの持っているハンドガンと、この魔改造された特殊兵器の殺傷能力の差を、スピード感をもって分かりやすく対比させる演出に成功した描写だと言えますッ。
(そもそもカミィは殺す目的の武器ではなく、相手をイラつかせ反撃させる武器ですから比較にはならないでしょうが…)
ここで衝撃の事実。 ただ…落ち着いてこのコマを見てもらえますか。

え…コレ、王子の部屋ですよね。
下層の一般客室ならまだしも、セキュリティーの高いツェリの部屋の扉が 「ドゴッ」 …ですか。
ベンジャミンさんの前蹴りって、グレネードと同等。いや! それ以上の破壊力があるように描写をしていません?
それとも、オーラを一点に集める 『硬』 を使っています?
てか、強化系の念能力でしたっけ!?
もしも念でガードしない状態で、コレを受けたら…内臓破裂どころでは済まないように思えます。
もう一度、先ほどのシーンを出しますね。
是非、あなたも見比べてください。

あれれ。 なんか同じ “強力な極太フォント” で轟音を表現していますよね。
はッ。 そ、そうか!
「オレの前蹴りとカキン産魔改造グレネード弾は一緒の脅威なんだYO~」 というメッセージですよね。
私には伝わってますよ! ベンジャミンさんッ。
冨樫はね、こんな場面でもちゃんと私の心を揺さぶってくるんですよ。
呪殺準備完了。 ソエモノの呪殺表現の、カッコよさと恐ろしさよ。

出ました。冨樫のネーミングセンスが “また” 爆発しました。
『つじつま合わせに生まれた僕等』と書いて『ヨモツヘグイ』ですって!!
いったいどんな生活をしたら、こんなワードセンスが生まれるのでしょうか。
そして、これぞ考察し甲斐のあるネーミングですよねぇ。
ちなみに、私はあえて! 他の人の考察は “まだ” 見ていません。
私の妄想 (完全にただの検索結果) を先に消化してから、他の人の考察を楽しむとします。
私の検索結果はこうです。
- 『つじつま合わせに生まれた僕等』
⇒日本のロックバンド 『amazarashi(アマザラシ)』 の楽曲…とします。 歌詞は 『こちら』 です。
⇒歌詞の中では、食物連鎖、戦争、差別、現代社会の消費文化、SNSでの匿名性など、様々な 「ろくでもない」 現実が列挙されている。
⇒世界に満ち溢れる理不尽、悲劇、矛盾(つじつま)と、その中で生まれた 「僕等」 という存在を、壮大かつ冷徹な視点で描いている。
⇒しかし、最終的には 「一生かけて愛してよ このろくでもない世界で」 と、愛することの価値と、それでも生きていくことへの微かな希望を歌い上げている。 - 『ヨモツヘグイ』
⇒日本神話に登場する概念であり、漢字では「黄泉竈食ひ」と書く。
⇒夫のイザナギは、妻のイザナミが忘れられず、黄泉の国に迎えに行って連れ戻そうとするが、イザナミから 「すでに黄泉の国の食べ物を口にしていたために一緒には行けない」 と断られてた。
⇒要するに 『あの世のものを食べると、この世に戻れなくなる』 という意味で、その世界の住人となり、現世との縁が切れて戻れなくなる。
実際に『ソエモノ』は、純粋にろくでもないです。
そして数多くいる王子になぞらえて存在するソエモノを、歌詞にある 『僕等』 とリンクさせているのか。
末永く “その王子” を…それこそ人生 (命) をかけて呪いを練り上げる。
“呪い=愛する” ことしかできない微かな価値と希望に対して、答えにならないつじつまを無理やり合わせた矛盾を表現。
ヨモツヘグイの名からは、 “一度発動すれば呪い殺すことができる”という、 “現世には戻れない” という不可逆的で確実な呪殺効果を演出している…ようにも思えます。
ここまで、ネーミングと設定を完璧にリンクさせるの…スゴクね!?
ま。 私の妄想ですが。
更に妄想は続きます! 怨霊=人間の5感奪取説

ベンジャミンの呪詛担当だったモスワナさんが、10数年かけて練り上げた呪殺効果が、5体の怨霊のような形となってカミーラを襲っているのが 『絵』 で分かります。
その怨霊のようなモノが、ベンジャミンの 『目』 に宿した感じに見えますよね。
まさに 『怨霊のようなモノが5体=人間の5感』 になぞらえている様に思えませんか?
つじつま合わせに生まれた “僕等” というくらいですから、その1体1体が…呪いの世界とのつじつまを合わせるように、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を奪い、亡き者にする…。
大切で大事な5つの感覚が協力し合って、私たちは世界を豊かに感じて、生活しています。
その感覚を、一つずつ奪っていき…最終的に絶命させる。
だって、呪いの世界では、そんな5感は必要ないですからね。
そう考えると…ベンジャミンさん、10時間じゃ足りないですよね。
5感が無くなっていき…無になる。
末恐ろしいです。
ベンジャミンの冷静さと、漂う 『B・B(ビック・バカ)』 の影

ベンジャミンさん、良かったね。
カミィの能力の対策もバッチリだし、しっかり上から目線で煽ることもできてご満悦です。
…ただし、それはカミィまでの話です。
なにせ、この対応ができたのはムッセが身を賭して得た情報ですし、バルサミルコさんと一緒に考える時間もありましたからね。
だから…ツェリに対してとった、あの行動は完全に悪手ですよね。

ご覧ください。
ツェリは絶賛 『絶』 発動中&煽り中 (「ビッ」 は 「B・B (ビック・バカ)」 の 「ビ」)でございます。
もちろん、ベンジャミンも “それら” を知っています。
ここで冷静に 『絶=厄介なカウンター能力の類』 だと想像できていれば、カミィの時のように 『絶』 を感じた時点で、なんかしらの警戒をするべきだったんです。
あらゆるカウンターを考慮し、銃殺ではなくベンジャミンの持つ念能力で “より確率の高い方法” で遂行するべきだったのかと。
じゃないと、ツェリに言われてるあだ名 『B・B (ビック・バカ)』 を、まんま体現することになってしまうんです。
では、なぜベンジャミンは短絡的に即射殺をしたのだろうか…。
それは、今回彼が連れているお付きの私設兵が…
- 戒厳令前に殺しちゃう “せっかちブッチ”
- 「オレの親は第1王子(ベンジャミン)様だよ」 でおなじみの “一途なヒュリコフ”
という、イエスマンの二人だからなのですッ!!
この2人では、さすがにB・Bの暴走を止められません。
もしも…もしもそこに、バルサミルコさんが同行していたら、もっと違う未来があったのではないでしょうか。

思い出してください。
日本の伝統芸能 『ドラえもん』 を彷彿させる、ジャイアニズムを継承したベンジャミンさんに、唯一ツッコミ (進言) を入れることができるのがバルサミルコさんなんです。
彼がいたら…
バルサミルコ : 「待ってください、ベンジャミン様。相手は絶を使っております。 厄介なカウンターの可能性があります。 まず私が攻撃しますので、その様子の一部始終を見極めてください。」
のように、きっと冷静に進言していたでしょう。
そして、犠牲の上で成り立つ 『即席のカウンター対応』 ができたのではないでしょうか。
ツェリの “絶” と、 “刹那の10秒” の精度が念修行により、もはや対応不可能なまでに成長しているコトも考えられますが…ベンジャミンとバルサミルコのコンビならば、ある程度時間をかければ看破できた可能性が “まだ” あったはずです。
なのに、現在のバルサミルコは『バルサンブルク (バルサミルコ+ハルケンブルグ=バルサンブルグ) 』に変貌してしまいましたからね。
ある意味、ハルケンブルクはベンジャミン陣営の重要な人物を落とし、牙城を崩す決定的なキッカケをしたとも言えます。
最後に
いやーもうさ、ドヤ顔で 「クラピカは我が軍に講師としてむかえる必要がある」 じゃないよぉー。
一応ね、ベンジャミンは全てを持つ者(王子の順位・軍事力・権力・念能力・金・人脈) として描かれています。
そんな圧倒的な存在が “何によって” 陥落するのか?
そんな人間味あふれる、業と欲を備えたキャラクターを冨樫はどう落とす (退場させる) のか?
そこら辺を含め、非常に興味があるのです。
だから…まだ “その瞬間” は早いと思うんです。
まだベンジャミンの人間味溢れるエグ味が全然出ていませんから。
だからこそ! 後もう少しがんばって欲しいところなのです。
なんでしたら!
元祖変態紳士・ヒソカにばったり会って、本当の意味での 『念を使った戦闘』 を経験し、念の奥深さに打ちひしがれて欲しいくらいです。
ベンジャミンさん。 私め、応援していますからね。
ちなみに、この記事はジャンプ本誌から “ハンタだけを切り取って” ファイリングしたものを使って書いています。
もちろん! 最新刊が出た時点で、私の愛用本棚と化している 『ebookjapan』 にて購入しているので、過去のコマは使わせていただいております。
ただ! あなたに強くおすすめしたいのが 『HUNTER×HUNTER カラー版』 です。
モノクロ版とは1巻遅く販売するペースではありますが…至高の冨樫の絵をカラーで嗜むのも粋ですよ。
ではまた。
