(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)
こんにちは、サチヲです。
もちろん!がっつり!分かりやすくネタバレ有りでございます。

今回の 『No.414◆仲間』 こそ、各SNSで盛り上がった “直接絵を載せる” いう回避不能なネタバレ祭りが開催されたことでしょう。
さすがにもう落ち着いたとは思いますが、今回は “そんな輩が湧くほど” 衝撃的かつ芸術的な組み立てを披露してくれた冨樫義博大先生。
(もちろん私めは、そんなお祭りに参加したくないので…ハンタ連載中は、極力SNSは見ないようにしています。)

今回は、いつもの妄想するのではなく…それぞれのキャラクターに愛のある (愛情の裏返しもアリ!) ツッコミを入れながら語っていきたいと思います
それでは早速、状況の整理からいきましょうか。

第4王子ツェリードニヒと第9王子ハルケンブルグが共謀し、軍の化学兵器が盗まれ使用された…!!
この事態を 『カキン王国の国家的危機時』 と規定し、第一王子ベンジャミンだけが持つ発令権を使って 『特殊戒厳令』 を発動させました。
これは、司法権・行政権・軍事権の三権がベンジャミンに移譲され、実質的に独裁状態となるチートイベント
目的はもちろんこれは王位継承戦を有利に進めるためで、一番の恩恵は “発令中は司法局を掌握できる” コト。
これにより、他の王子を不当な理由であっても、拘束・排除・殺害することが容易になる。

…だからと言って、です。
第7王子ルズールスに張り付いているベンジャミン私設兵・カンジドルの “動き” は、さすがにどうかと思うのです。

【ハンターハンター】『No.414◆仲間』 | 特殊戒厳令の前後エピソード!冨樫のシナリオ構成と“人間”の描き分けに…驚愕する。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

さすがにこれは、カンジドルさんの死亡フラグが立ちましたよね!?
ベンジャミン私設兵は基本的に優れた念能力たちですが、今回は…念を使わずに直接の物理攻撃で無抵抗の相手の息の根を止める。
戦闘好きならしっかり “戦い” をすればいいのに、それをしない。
ただ“単純に殺すこと”そのものに血沸き肉躍っているタイプで、私設兵らしからぬ短暦的で快楽主義な行動。
あとメタ的に言うと、ハンタの世界では “このような脳筋アホアホマン” は速攻で退場するのがお決まりです。

ただ、ここで気をつけたいのは…私にように 『ただのアホな噛ませ犬キャラ』 という安易な答えで終わらせてはいけません。
なにせ! 冨樫は 『人間』 を描くプロフェッショナルだということを忘れてはならないのです。

一見、能力バトルでファンタジーに全振りしているように見えますが、それはあくまで 『外側 (構成・演出)』 の部分です。
もちろん、私の妄想になりますが、その 『核』 となるテーマであろう “人間のエゴや狂気、善悪を超越する業” を描いているようにしか見えないのです。

カンジドルの行動に対して、先ほど “私はそう思った” のは事実として…それ以上に“極限状態に置かれた人間なんて、実際こんなもんだよね” という生々しい現実を、正面から突きつけられてきているようで仕方ないのです。

その計っているモノサシは人それぞれにしろ、冨樫が描くハンタの人物像が “どこか人間くさい” のは、これが理由だと強く思っています。
ホントに簡単にやっているように見えるけど、商業的にめちゃくちゃ難しいのに “それを『面白いマンガ (エンタメ)』に昇華させてしまう” のが、オレ達の冨樫なんです!!

煽り散らかす男・カンジドルと、ハンター協会員・リッジ。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

案の定、無防備な相手を狙うカンジドルの動きは、ルズールス側についているハンター協会員・リッジに見つかってしまいます。

先ほどの、無防備な相手とは違います。
それなのに 『チリ…』 なんてオーラをいきり立たせ、煽り散らかしながらも強者感を出すのはなんなんでしょう。
冨樫に限って、これで “実は強いパターン” なんてありますかね…?
あなたはどう思いますか? 
ただ…リッジが 『ハンター協会』 っていう、実戦経験や実力の差に大きな揺れがあるのが心配です。

ちなみに、この人の名前は 『リッジ』 で合っていますよね?

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)
(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

ほら! 晩餐会で、一瞬だけ出ていましたよね!?
演奏プログラムの1番目に 『フリースタイルバトル』 に名前が載っていたので…ていうか、登場人物の顔と名前を一致させた資料を公式がちゃんと作ってほしい。
…めちゃくちゃ売れると思うのは、私だけではないと思います。

次に、この第7王子ルズールスを見てやってください。なんかめちゃくちゃ美男子になってませんか!?

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

33巻での初登場時 (下の画像参照) では、こんなに鼻が高かったのに…なんか違うよう気がしませんか?
なんでしたら、お髭もデザインされたお髭になっていて、清潔感もアップしているように見えませんか!?

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

長期連載をしていれば “このくらいの作画の変化” は、あって当たり前ですが…冨樫の場合は、 「これからルズールスを力を入れて描いていくよ」 という意気込みにも似た決意を感じました。
というのも、継承戦では 『我関せず』 のような立ち位置かと思っていましたが…今回の先を見越した指示出しや、頼りがいのあるリーダーシップを取る姿を見ていたら、これはこれで楽しみになってきましたよね。

死の覚悟を決めた漢・ウショウヒの表情 (目) を見てやってください。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

チヤマシ : 「覚悟はいいか?
ウショウヒ : 「無論だ

真の漢は、多く語りません。
その代わり、私めが多くを語ります。
ウショウヒは理路整然と “現在の状況と今後の流れを冷静にくみ取った『自分のできる事』の抽出と理解と行動” をした上で…このセリフと表情に行きついているんです。
登場時はこんな目つきだったのに…

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

こんなやさぐれた感じでしたが…それもそのはず。
そもそも! ベンジャミンの能力 『星を継ぐもの (ベンジャミンバトン)』 により、ウショウヒ (というか、私設兵全員…) が戦死した場合はその能力がベンジャミンへと引き継ぎ (もちろん限界数アリ) があります。
私設兵に “成った時点” で、 「いつ死んでもいい」 という強固な意志と覚悟をもって生きています。
そう考えると “当たり前” かもしれませんが…それでも “自分で導き出した答え” を今一度噛みしめます。

ウショウヒ : 「王子のみを拘束し監視できる環境であればオレの能力は最大限活きる…が、それすら拘束が成功してしまえば 特戒令の中 もはやオレの能力である必要はない…つまりオレの能力は継承戦にもう不要

はい…。
と、もう死ぬ覚悟に私も成ったのですが…相手はあの冨樫です。
基本的に読者の予想の左斜め上を行くお方です。
きっとウショウヒは死にません。
その後は、B・H号内で 『部屋と虫射球(ニードルボール)と私』 というオリジナル曲を作り、更にかわいいアバターも購入して、バーチャルアイドルとしてネットをざわつかせるでしょう。

チヤマシの操作系半強制型能力である 『蠅の王 (ムテキング)』 の念能力を知っていれば、最悪の事態 (無効するダメージ総量次第で無敵化終了後に死ぬ) が “すぐそこ” にあるくらい考えるまでもありません。
だからこそ “誰でもできる” ことではない。
だからこそ、ウショウヒの “決めた漢の表情” が美しくも眩しく見えるんです。
このように、冨樫はサブキャラクターひとり一人に “人間味” を持たせ、私の心を揺さぶりにくるんですよ…。

ついでにオイトさん&シマヌさんペアの優しくも柔らかい表情を見てやってください。その理由が明確にあるコト。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

先週の衝撃的事実(男の子ワブル君と女の子ワブルちゃん)を共有し、一緒に乗り越えたからこそ生まれた “チームとしての絆” がこの表情を醸し出していると思いませんか。
今まではクラピカとビルが中心になって継承戦を“どう生き抜くか”を試行錯誤してきたのに、いつの間にか…『クラピカ・ビル・オイト・シマヌ』という役職・立場抜きで対等に話し合える強いチームを結果的に作り上げたからではないでしょうか。

このチームは、これからもっと強くなると思います。
守護霊獣が船内を闊歩しはじめてから現在に至るまでの時間で、王子を中心にそれぞれの特性を活かしたチームがそれぞれ育ってきたと思います。
その中でも、このチームほど垣根を超えた人間同士が最速で腹を割って一つの目的を共有している所はないです。

  • シマヌは…紳士的な態度のように見えてモラハラ気質のクラピカに対して 『シマヌ・シマノ表記揺れ問題』 について言及したことにより “わだかまり” も消え、風通しの良い環境を作ることができた。 (あと、電話回線の切り替えもね)
  • ラピカは…最初は第4王子ツェリードニヒについて (明確な目的) を語り、ワブル王子に関しては“ついでに感”があったのは否めなかったでしょう。しかし! ワブル王子の寝顔に触れた時から、権威型から参賀型リーダーシップに徐々に切り替わってきました。だから念能力の情報共有もしながらも、自身のハイリスクな念能力を惜しげもなく使い、文字通り体を張った姿勢にみんながついてきている。
  • ビルは…ビヨンドの別動隊として機能していたのに、いつのまにかクラピカの熱にほだされ…結果! 「ビヨンドがやった事 これからやろうとしている事 あれだけ聞かされても まだ奴の下で働くほど 絆も使命感も持ち合わせてねーんだよ オレは!!」 と言わしめるほど、協力的な姿勢に変わった。
  • オイトさん…先週の 『ブログ』 でも語った通り、実は…めちゃくちゃ生き残るために必要な強かな考えや思いがあって、尚且つ!それを実行できる手段と行動力を兼ね備えたイケてる淑女・オイト王妃だった。

だからこそ!
今週の 『ワブル王子は船内にいる?or船外にいる?問題』 について、全員でどこまでも可能性を洗い出し、あそこまで建設的に意見を出し合った話し合いができたのではないでしょうか。

とはいえ、いくら “腹を割った” といっても繊細な部分もあることは当たり前のことです。
そこは、それぞれの立場や考え方を紐解きながら、全員で丁寧にアプローチしていくを積み重ねた。
それができるのは、それぞれの事情を知ったうえで “相手を『尊敬』している” ことが大きいです。
だから、たとえ納得できなくても理解はできる状態にもっていくことができたのです。

その最たる結果が…今週号最大の山場である 『ゴンとキルアに対しての信頼性』 が伝わることに繋がるッ!!

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

ご覧ください。

これがクラピカの…命にかけながらも 『決して死ぬことはない安心感に満ちた表情』 です。
これがオイトさんの…信頼の上に成り立つ 『納得できなくても理解した表情』 です。

基本的に、人間不信はクラピカがここまでの“語り掛け”ができるようになったんですよ。
カキン国という、一種時代錯誤の社会で育ったオイトさんが、決して解けることのない不信感が溶け始めているんですよ。

この微細な変化を、冨樫は描き分けをしているんです。

では、ここで冨樫の『絵画』を一緒にゆっくりと鑑賞しましょう。

(ハンターハンター ©冨樫義博/集英社)

何よりも、どれよりも、冨樫は二人を大人びた感じに描いているんですッ!!
やっぱり子どもの成長は早いんです!!

だって見てください。
ゴンのサイコパス感の薄れっぷり。…念能力がなくなったからでしょうか。
でも、あのゴンなら平気でイチから修業しなおしてそうですよね。
あともう一つ。
ゴンの後ろからついてきてる子は誰でしょうか??
私は、クジラ島に帰ってると妄想しているのですが…そしたら数少ない島民の子どもちゃと遊んであげているのかなぁと思ったり。
前までは、ゴン自身のわがままに周りが振り回されていましたが、今は子どもちゃんのわがままを聞いている側になったんでしょう。
そんな大きなお兄ちゃん的な笑顔ですよね。

邪推を一つ。
“ゴンの後ろにいる子は将来結婚する人” なのでは。その初出がこのコマ…という感じに、我らの冨樫はやりそうですよね。

そしてキルアーーーーーー!!
あの人込みをなんの警戒心もなく、あんなに穏やかな表情で歩く姿に…涙が出ちゃいます。
遠くからでもわかる、アルカ&ナニカの笑顔を見てください。
それが、その答えでしょう。

ていうか、キルアの人間界に適したお洋服(襟付きが、なんかいい)も新鮮ですよねぇ。
GUではないですね。キルアは…シマムラ派だと断言します。
特に深い意味はありません。
…あと、キルアの肩幅が少し大きくなりました?たくましくなったのかな??

最後に

いやー、本当にスゴイです。。
冨樫はいったい、いつからこのストーリーの組み立てを考えていたんでしょうね。
よくある、急展開や無理やり感では決してありません。
そのシナリオの階段を二段飛びではなく、知らず知らずに1段ずつ上らされている…。
気が付いたら、高い絶景 (感動) たどり着いている…という寸法です。

ではまた。